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ECサイトの競合比較調査を行う際に絶対に使いたいツール - どこまで競合サイトを丸裸にすることができるのか

ECサイトの競合比較調査を行う際に絶対に使いたいツール - どこまで競合サイトを丸裸にすることができるのか

ノウハウ・ツール
2015/09/17

ECサイトの競合比較調査を行う際に絶対に使いたいツール - どこまで競合サイトを丸裸にすることができるのか

 

ECサイトを運営していると、似ているショップや、ライバル店、同一商品を取り扱っているとても強大な店舗など様々な「競合」サイトが気になってくる。そして、自分が運営しているショップがどのような状態なのか、どのような改善が必要なのかを知るために競合ショップのあらゆるデータや情報は可能であれば知りたいところだ。そこで今回はECサイトの競合比較調査を行う際に絶対に使いたいツールを紹介していく。

 

 

SimilarWeb

 

SimilarWeb(シミラーウェブ)は、URLを入力するだけでWebサイト分析や業界分析を簡単に行うことができるツールだ。

 

 

SimilarWeb株式会社は2009年3月にイスラエルのテルアビブで設立され、現在はロンドンに本社を持つ企業で、これまでに合計2500万ドルの資金調達を行うなど急成長中だ。日本版SimilarWebのサービスは株式会社ギャプライズが販売・サポートを行っている。

あらゆるサイトの月間訪問者数やアクセス時の検索キーワード、前後にアクセスしたページなどのトラフィックソース・流出先の情報や広告クリエイティブ一覧を無料で入手することができる。特に、Googleアナリティクスでは調査することができない「not provided」を含むキーワード分析が行える点がとても魅力的だ。さらに300カテゴリーの中から業界分析・サイトランキングを表示する機能も提供されており、これらを利用すれば新たな競合を発見したり、自社や競合のキーワードを考慮したうえでコンテンツを投下したりと、効率の良いWebマーケティングを行うことが可能となる。なお、無料版では検索キーワードや前後アクセスページ等が上位10件まで表示できるのに対し、有料版では無制限に表示することができる。

世界中に数千の膨大なソースをもっており、そのデータをSimilarWeb社が統計的に分析することによって、これらのWeb分析ツールの提供を実現している。現在では日本国内からも多くの調査データが集まっており、ネット人口の1.5%をカバーしているが、今後の更なるクオリティ強化も期待される。

 

今回はスタートトゥデイが運営する「ZOZOTOWN」を例にとってSimilarWebの無料版を使用しサイトを解析してみた。

 

 

無料版をインストールすると、ブラウザにアイコンが表示され、それをクリックするだけでそのサイトが表示されるという分かりやすいインターフェース。まずはじめに月間訪問者数やランキング、平均滞在時間等Webページの概要が表示される。起動した瞬間の情報がすぐに表示されるのでわかりやすい。

 

 

“Search”と書いてあるタブを選択すると、オーガニック検索では「Zozo」や「Zozotown」、「ゾゾタウン」というキーワードが主であるということを簡単に確認することができる。

このように知りたい情報の種類がいくつかのタブに分かれており、タブごとにアイコンもついているため、視覚的に分かりやすいツールとなっている。また”Similar Sites”タブを選択すると、分析を行ったサイトと類似するサイトのリンクを探し出してきてくれるため、競合調査をする上でとても有用だ。ツール内で指標の名称等が英語で表記されているため、最初はやや慣れが必要になるかもしれないが、Webマーケティング用語にある程度親しんだユーザであれば特に問題なく使用できるだろう。

その他のアクセス解析系の競合比較サービスとしては、海外のサービスであるがAlexa(アレクサ)が有名だ。また、コムスコアが提供しているサービスも大手企業向けには定評があるので知っておきたい。

 

 

ユーザテストExpress

 

株式会社ポップインサイトが「1分で始められるリモートユーザテスト」として提供しているのがユーザテストExpressだ。

 

 

こちらも基本的にはURLの入力だけでWebサイトのユーザテストを行うことができるツールで、手軽さを売りにしている。ユーザテストExpressの最大の特徴は、不特定多数のユーザの中から『「賃貸オフィス」を「ネットで検索」したことがある人』のように、かなり具体的に対象とするモニタの条件を絞り込むことができるという点だ。また従来のユーザテストはテスト会場に実際にユーザを集めて行う形が一般的だったが、ユーザテストExpressはユーザが自宅で一人で行うリモートユーザテストという形式をとっているため、場所や日程の調節が必要なく安価かつ迅速に調査が可能である。この調査方法には、アクセス解析等の定量データでは分からない具体的な課題を、自らが定めたターゲット層の視点から発見することができるという利点がある。絞り込み機能によって契約者に選ばれ依頼を受けたユーザが、テスト時に自分の肉声と画面の動きを録り、数時間から数日で動画を納品するというのが本ツールの大まかな流れとなっている。

サービス利用にはクレジットの購入が必要となっている。1クレジット5000円で、10クレジット以上購入すると1クレジット「おまけ」がつく料金システム。また毎月先着500名限定で調査1回分を無料で提供するキャンペーンも行われている。

 

今回はこちらも同じく「ZOZOTOWN」を例にとってユーザテストExpressを使用しサイトを解析してみた。まずはモニタの選定。今回は『「かばん」を「インターネットで購入」したことがある女性』という条件で募集してみた。

 

 

募集をかけるとものの30分から数時間で多数のモニタが候補に現れた。このスピードは驚異的だ。今回選んだのは36歳子持ちの専業主婦。画像のようにモニタの基本的な情報は選択の前に予め表示されているので、よりイメージ通りのモニタを選択できる。モニタの依頼を申し込んで、早ければ当日、通常では翌日頃には動画がアップロードされる。

 

 

動画は25分程度で、早送りもできる仕様になっている。今回は、「鳥のモチーフの付いたかばん」をZOZOTOWNで購入するまでの流れをユーザテスト動画として撮影してもらった。動画の中でモニタは、予めポップインサイトの定めた質問事項に口頭で応えながら、サイト内を探索していく。これは実際の肉声とPC画面のついた動画なので、ユーザの「商品が多く満足」「キーワード検索ができるともっと良かった」などの非常にリアルな感想を聞くことができた。

初回以外はモニタに依頼するたびにクレジットとして利用料金が必要となるが、ユーザテスト動画が納品されるまでのスピードや内容の質などを考えると、非常に質の高いサービスで、有効活用していきたいサービスといえるだろう。

 

 

その他の競合比較視点を持つツール

 

SEOチェキ!

 

SEOチェキ!は無料で使えるSEO(検索エンジン対策)に特化したツールだ。

 

 

類似のツールが多く存在する中、豊富な情報量や使いやすさを武器としており、高いシェアを誇っている。URLを入力するだけでサイト内の文法や被リンク、インデックス数など様々なSEOの要素を数値化し分かりやすく教えてくれる。また検索順位チェックやキーワード出現頻度、発リンク、ドメイン所有者の情報など、様々なデータをSEOチェキ!だけで参照することができる。

 

 

SEOカウンセラー

 

SEOカウンセラー株式会社ウィルゲートが提供する無料ツールで、あるキーワードの競合サイトの状況とSEO対策状況を一覧で可視化してくれるツールだ。

 

 

URLと調査キーワードを入力すると、そのキーワードの検索上位10サイトの関連キーワード、descriptionやkeywordといったサイトの基本情報、index数や被リンクといったSEO施策情報、アンカーテキストの分散比率などを見ることができる。より詳しい情報の表示には無料会員登録が必要となるが、会員登録後は競合調査対象のサイトが選択可能となるほか、コンサルタントによる電話アドバイスを利用することができる。

 

 

価格調査ツール・競合調査ツール

 

株式会社ユーザーローカルが提供するEC価格調査ツールEC競合調査ツールは、同社のヒートマップ解析 User Insightを導入中の企業のみに提供されるサービスだ。

 

 

EC価格調査ツールは、楽天・Amazon・Yahooショッピングといった大手モール内で指定した商品がいくらで販売されているのかを知るために、競合店舗の商品価格を一括で調査するツールだ。EC競合調査ツールは、同じく大手モール内で自社ECサイトと商品ラインナップや価格などから競合と認識できる店舗を自動で抽出するツールとなる。

 

 

SHOPNOTE

 

最後に弊社のサービスについても競合比較視点で触れておきたい。アクセス解析をベースとした自動コンサルサービスSHOPNOTEでは、毎週ショップのアクセスデータをもとにして、競合サイトのデータから閾値を設定し典型課題判定を実施。

 

 

具体的にはアクセスデータから取扱商品数・商品単価・トレンドなどの要素を読み解き、同レベルのショップの中でどれだけ頑張っているかor低迷しているか、を判定している。ECサイト運営全般が判定対象となり、スマホ対応レベル、集客レベル、サイト回遊性など26個の課題を判定していく。そのため毎週のアクティビティの良し悪しを手軽に競合比較視点で確認することができる。

 

 

どこまで競合サイトを丸裸にすることができるのか

 

Webサービスが進歩する中で、自らがオーナーではない他のサイトについての情報も、これだけ多くのサービスから得ることができるのは驚きだ。

 

 

 

サイト自身の競合比較から、結果としてどのような成果があったのかという視点での競合比較まで幅広くサービスが存在している。EC競合調査ツールで競合サイトを洗い出し、SEO側面での競合調査をSEOチェキ!やSEOカウンセラーを使って実施し、さらにユーザテストExpressでユーザ目線での調査を実施する、など複数のサービスを絡めることでより充実した抜け漏れのない競合比較が可能となる。またSimilarWebにて競合サイトの集客力の高さや直帰率の低さなどを目の当たりにしてしまった場合、今回は取り上げなかったがGoogleキーワードプランナーを用いてターゲットキーワードの再考を行い、SHOPNOTEの課題判定結果から今後の改善アクションを検討することも可能となるだろう。

一方、翻せば競合サイトの運営者があなたのサイトのデータをこれだけ詳細に確認することができているということでもある。そのように考えると、何らかの視点で日常的に競合サイトを比較して運営のインプットとしていくことは避けて通れないものとなっているだろう。それぞれの運営スタイルにあったサービスを上手に活用していく必要がありそうだ。今後も競合比較サービスの進歩には注目していきたい。