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世界との「美意識」のギャップを埋めるための美容クリームの商品開発、そして150%成長のEC展開の裏側

世界との「美意識」のギャップを埋めるための美容クリームの商品開発、そして150%成長のEC展開の裏側

マーケティング
2017/11/21

デリケートゾーンのケアと聞くと、日本ではまだまだ馴染みが薄い人も多いのではないだろうか。

実際、アメリカの医師会誌によると2016年の段階でケアをしている女性の割合は83.8%だが、国内では2015年のデータだが27.5%に留まっており、実に3倍以上の開きがある。この実態を目の当たりにしたのは、今回インタビューした井上社長夫妻が30代前半で世界一周旅行をしたときのことだったという。

 

今回は、この井上社長が代表を務める株式会社ファイブテイルズにインタビューを実施(インタビューは社長のご主人の井上勝雄様に実施)。世界一周旅行で様々な国を訪れ、様々な女性と接したとき経験から感じた、「デリケートゾーン後進国」日本を変えるために始めた、Ibizaクリームの開発秘話や、マーケティングについてお話を伺った。

 

※今回は、IbizaクリームのECサイトに導入されている、リピート通販専用カートであるリピストを提供する、株式会社PRECSの協力のもと、株式会社ファイブテイルズにインタビューを実施した。

 

 

 デリケートゾーンのケアに特化する株式会社ファイブテイルズ

 

「かっこいいい女であれ」というビジョンをかかげ、脱毛サロンの経営と、デリケートゾーン用の化粧品販売を行っている株式会社ファイブテイルズ。デリケートゾーンのケアがまだまだ一般的だとは言えない日本で、美意識が高く、かっこいい女性を増やそうというモットーのもと事業を展開している。

現在は、脱毛サロンであるIbiza Waxを6店舗と、自社ECサイトの運営を行っている。ECサイトではIbizaクリームをはじめとして4種類の商品を販売。会社全体の売上は、EC事業が会社の柱になるほどまでに成長してきている。

 

 

 

脱毛サロン利用者からの要望から生まれたIbizaクリーム

 

井上社長は数年前、夫婦での世界一周旅行を通じて色々な国を訪れ、様々な女性と接しながら、デリケートゾーンのケアが世界的にはごく一般的なことを知った。そして、帰国後に自分たちも体験するために調べたところ、日本で全く浸透していないことを実感したという。そのような状況を目の当たりにした井上社長は、日本人女性にもデリケートゾーンケアを広めるため、2014年7月に株式会社ファイブテイルズを立ち上げ、同年8月にはブラジリアンワックス専門サロンIbiza waxの1号店を六本木にオープンした。しかし時代はまだまだ早すぎた。オープン当初、日本では未だプロのモデルの間などの美意識を高く持つ必要がある人達のみが利用する程度の「脱毛」の専門エステサロンというカテゴリになり、ほとんど一般的な需要はなかった。また、美容業界が未経験で集客やサロン運営のノウハウもない手探りな状況だったため、お客様が非常に少ない状況が続いた。徐々に脱毛が世間で受け入れられるようになったことや、口コミをきっかけに徐々にお客様を増やしていくことで現在では東京4店舗(六本木、新宿、渋谷、銀座)に加え、川崎、那覇の合計6店舗を運営するに至った。

脱毛専門エステサロンを経営していく中で、デリケートゾーンのケアを行う現場からは「デリケートゾーンのくすみ」に関する悩みの声が多く寄せられた。海外に比べて日本では、アンダーヘアの脱毛が浸透しておらず、デリケートゾーンのケア時にどのように対処すればいいのかわからない女性は非常に多く、アンダーヘアの脱毛をして、初めてデリケートゾーンのくすみや肌トラブルに気づく人も少なくない。

当初はこのような悩みを持つ女性には個別対応を実施。「アンダーヘアの脱毛に合わせて、美白ケアをすることはできないか?」という問い合わせを数多く受け取り、その度に海外の化粧品を紹介する、といった対応をとっていた。

アンダーヘアの処理が日常的に行われる海外では、デリケートゾーンのくすみ対策に対応した化粧品の種類も豊富であったが、日本でデリケートゾーン専用のケア用品はほとんど見ることが出来ない状況だった。また、海外製の商品では敏感肌の人にとっては強すぎるなど、比較的柔らかい日本人の肌には合わないのではないかという不安の声が多く聞き取られたことから、デリケートゾーンケア商品の自社開発を決意。まずはありとあらゆる海外のデリケートゾーン関連の商品を集めて、スタッフやサロンに来店されるお客様にも使ってもらうことで、感想や要望をかき集めた。

しかしいざ商品を開発すると言っても、製造してくれる会社探しから始めなければならない状況だった。持ち前の行動力でいくつもの製造会社にアポイントを取るも、化粧品の企画・生産・販売のいずれの実績もない企業が製造会社との取引を始めることは簡単ではなかった。地域にもこだわらず、北海道から関西エリアまでの様々な化粧品製造会社にアポイントをとり続け、イメージする化粧品を伝え続けた。しかし経験も実績もない設立して間もない会社、さらに小ロットからのスタートで真剣にとりあってくれる会社がほとんどなく門前払いが続いたのだ。

そして、やっと出会った製造会社と小さな取引を繰り返すことで信用を積み重ねていったのだった。どうにか開発した試作品は、サロンのお客様にサンプルとして配り、テストをしてもらうとことでお客様からの意見を収集。その意見をもとに成分量のチェックを繰り返しながら、数ヶ月かけて決め手となる美容成分である薬用の美白成分トラネキサム酸に出会うことになる。トラネキサム酸を軸にした商品開発をしようと決めてからも、サンプル収集やテストを何度も繰り返すこと数か月。長い道のりの結果、製品化に成功し、Ibizaクリームが誕生したのだった。

 

 

 

 

サロンで好評だったIbizaクリームをECでも販売、全国の女性へ届ける

 

はじめはサロンでのみ、施術を受けたお客様に向けて販売を行なっていたIbizaクリーム。美容成分に十二分にこだわって開発した甲斐があったのか、大変好評であったためECでも販売することを決意、2015年4月にリピート通販専用カートであるリピストを利用してEC展開を開始した。

サロンでの販売当初からECで販売していくことは視野に入れていたものの、今までEC事業を手掛けた経験はなかった。ECでも商品販売するのに先立ち、情報収集をしているうちに、定期通販が最もIbizaクリームに合っているとの結論に達する。実際、美容クリームの効果は定期的に使用しないと効果が現れにくく、サロン側としても定期的に購入してもらうことでユーザーとの信頼を築きたいという考えから、定期通販でEC事業を立ち上げることが一番FITすると感じたのだった。ECサイト構築について調べる中で、定期通販に最適化されたカートサービスにいくつかアポイントを取り、そのうちの一つが現在も導入しているリピストだったのだ。

EC事業立ち上げ当時は、事務所がなく、サロンのみを所有している状況のため、商業ビルのフリースペースなどで打ち合わせを実施するなど、まだまだ会社として軌道に乗っている状況ではなかった。しかし、リピストの担当者には丁寧に対応をしてもらうことができたことも好感に繋がった。また、リピストがECカートに関するメディアサイト(定期購入カート比較ガイド)を運営していることから、信頼をすることができたようだ。実際にリピストの担当者に会ったところ、リピストの機能面の説明だけではなくECに関するアドバイスの提供を始めとして、担当者自身がECの販売に関して豊富な知識があることが見受けられた。サービスの機能も十分に備えていたことが前提としてあることは確かだが、なによりも担当者のサポートや対応の良さに惹かれてリピストを導入することに決定した。

本格的にECサイト稼働開始後も、サイトの設定が間違って商品が買えなくなったこともあったが、数時間程度で発見してもらうことができ、迅速に対応することができた。リピストの対応、サポートには大変満足しているのだという。今後も着実に売上を伸ばして、確固たる地盤作りを行なっていきたいと井上氏は語っている。

現在ECサイトでは4商品を展開。主力のIbizaクリームを始めとして、デリケートゾーン向けのボディソープであるIbizaソープ、デリケートゾーンの匂い対策のためのIbizaデオドラントの他、メイドバイマムという商品名で妊娠中にできてしまうことがある正中線に効果があるクリームを販売している。

サイトへの集客は、主にアフィリエイトとリスティングを行っているが、その他の媒体への露出も積極的に行っており、複数の女性誌でも紹介されるなど、順調に露出を増やしているようだ。デリケートゾーンという少し日本では触れにくい領域のテーマであっても、ここ1年程度は女性の関心の高まりを感じてきていると井上氏は言う。

 

 

今後もブレずに「かっこいい女性を増やしていく」ことを目指す

 

EC事業を始めて約2年が経過し、今年は昨年比150%の収益となるなど、サロンと並んで会社の柱となるまでにEC事業の成長は著しい。

昨年話題になった越境ECへの挑戦も、一度は検討したそうだが、まずは国内で「デリケートゾーンの悩みといったらIbizaシリーズ」と呼ばれるようにデリケートゾーンのケアという面で確固たる地位を築いていくことを目標としているという。この目標を達成するため、ECだけではなく実店舗であるサロンにもより注力していくそうだ。

今後のビジョンも現在同様「かっこいい女性を増やしていく」ことにブレずに注力していくという井上氏。そのブレない姿勢がここまでの基盤を作り上げていったと言ってもいいだろう。

日本では、まだデリケートゾーンのケアというとあまり良い印象を持たれないこともある。その一方で海外では、デリケートゾーンのケアは一般的なもので、エチケットとして当たり前のこととなっている。この「美意識」のギャップを埋めるべく、今後も日本で「かっこいい女性」を増やすことを目的に、「かっこいい女性であれ」というコンセプトで化粧品を作っていきたいと語る目は真剣そのものだった。

 

 

ファイブテイルズが導入しているリピストとは

 

リピストとは、単品通販・リピート通販に特化したショッピングカートASPサービスだ。豊富なステップメールや商品ページ一体型申込フォームが特徴的なサービスで、アップセル機能、会員属性(顧客ランク機能)、広告効果測定、電話受注対応システムなどの機能もあるため、初心者の方から本格的なECサイト事業者様まで幅広く対応している。


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