根強い人気のサブスクリプションコマース(定期購入) - 進化する毎月届く「ちょっとした楽しみ」 | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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更新日2018/11/08 公開日2015/07/31

根強い人気のサブスクリプションコマース(定期購入) - 進化する毎月届く「ちょっとした楽しみ」

根強い人気のサブスクリプションコマース(定期購入) - 進化する毎月届く「ちょっとした楽しみ」

 

定額の料金を支払い続けることで、毎月商品を受け取ることができる定期購入。サブスクリプションとも呼ばれ、雑誌からソフトウェアに至るまで様々な分野で定着している利用形態だ。数年前に日本でもオンライン上でのサブスクリプションコマースのトレンドがやってきたものの、最近はそれほど大きな話題として取り上げられることも少なくなっている。しかし、ここ最近海外においてじわじわと進化しつつあるようだ。今回は海外のサブスクリプションコマースを紹介し、その進化の流れを追ってみる。

 

<参考>

サブスクリプションコマース(定期購入)はどこまで定着するのか

 

 

Dollar Shave Club

 

アメリカ・ロサンゼルスで2012年3月にスタートしたカミソリの定期購入サービス「Dollar Shave Club(ダラーシェイブクラブ)」。

 

 

カミソリと替刃の市場は全世界で約1,280億ドルの規模だが、そのうち8割以上をP&G社のジレット・ブランドを始めとした大手企業が占めている。そこに切り込んだのがDollar Shave Clubだった。共同創設者でCEOのマイケル・デュービンが自らパロディCMに出演し、コメディ的要素を交えながら大手企業の批判をしつつ、自社ビジネスについて紹介。2012年4月にYouTubeで動画が公開されるとたちまち口コミで広がり、わずか1週間で300万回以上も再生された。同社によると、最初の2日間だけで1万2,000件の加入があったそうだ。こうして決して低価格とは言えない大手企業の製品に不満を持っていたユーザーたちは、自社製造によってマージンを省いた低コストのDollar Shave Club製カミソリ刃へと興味を持つようになったのだ。

 

 

Dollar Shave Clubでは現在、1ドル、6ドル、9ドルの3種類のカートリッジ通販を展開。会員数は今や170万人にのぼり、年間カートリッジ売上数は6,200万個、2014年度の売上高は650万ドルに達している。また最近では、事業拡大の一環としてヘアスタイリングラインの製造販売を開始。ヘアジェル、ヘアクリーム、ヘアクレイ、ヘアファイバーなどのアイテムを開発し、同社のクラブメンバーへの付加価値サービスを追加するほか、新顧客開拓を狙っている。

日本でも、株式会社OpenUpによる同様のサービス「TOKYO SHAVE CLUB」が2013年12月にスタートしている。こちらは2枚刃+替刃4個で月100円(送料250円)、フロント6枚刃+替刃3個で月800円(送料無料)。ただし日本はアメリカに比べてリアル店舗でも手軽に商品が購入できるし、Dollar Shave Clubのように「大企業のやり方に対抗して業界を変えよう」というメッセージ性を打ち出しているわけでもないので、この手のサービスが根付いていくかは未知数だ。

 

 

My Little Box

 

フランスやベルギーを中心に、100万人が購読しているというパリ発の高感度な女性向けライフスタイル情報サイト「MY LITTLE PARIS(マイ・リトル・パリ)」。同サイトが2011年から提案しているのが、フランスとベルギーで8万人以上が登録しているサブライズボックス「MY LITTLE BOX(マイ・リトル・ボックス)」だ。

 

 

毎月テーマに沿ったアイテムが送られてくる定期購入ECで、日本にも2013年10月に上陸。度々メディアなどでも取り上げられているので、ご存知の方も多いのではないだろうか。

 

 

ボックスに詰められているのは、“日常にきらめきを与える”というコンセプトのもとで選ばれた雑貨やアクセサリー、コスメ、オリジナルの小冊子など。ユーザーの興味は中身だけでなく、パリで活躍する日本人イラストレーターKanakoによるキュートな絵柄のボックスも人気の1つなのだとか。雑貨はサングラスやiPhoneケース、レジャーシート、カレンダーといった実用的なものが多く、あれば嬉しいアイテムが揃っている。ビューティプロダクトも充実しており、ブルガリ、イヴ・サンローラン、ジバンシイ、ニュクス、カリタ、ロクシタン、クラランス、ロレアル、ケラスターゼ、ゲランといった人気ブランドがラインナップに並ぶ。オリジナルの小冊子には、ボックスに入っているアクセサリーや雑貨の使用例のほか、パリジェンヌおすすめのレストランやショップ情報、インタビュー記事などが掲載されており、読み応え十分だ。価格は税と送料込みで3,200円。毎月ちょっとしたギフトが誰かから送られてくる、そんな感覚に喜びを覚える20〜40代前半の女性たちから人気を集めている。

 

 

MunchBox

 

今年1月から香港で始まったヘルシースナック専門定期購入サービス「MunchBox(マンチボックス)」。

 

 

“Unjunk your junk food(ジャンクでないジャンクフードを)”をキャッチフレーズとするMunchBoxでは、トランス脂肪酸を含まないこと、人工防腐剤&香料&着色料を使用しないこと、異性化糖を使用しないこと、遺伝子組み換え食品ではないこと、原材料はオーガニックのみ、といった5つの基準をもとに、美味しくて身体に良いスナックフードを厳選して届けている。

 

 

現在展開しているサービスは2種類で、月額210香港ドル(約3,350円)で10〜12品のヘルシースナックが届く家庭向けサービス「Personal Munches(パーソナル・マンチーズ)」と、月額630香港ドル(約10,000円)で40〜48品を提供するオフィス向けサービス「Sharing Munches(シェアリング・マンチーズ)」を用意。美食の街・香港らしいこちらのサービス。将来的には、台湾などの他のアジア地域にも拡大していく方針とのことだ。

 

 

海外で進化を遂げている毎月届く「ちょっとした楽しみ」

 

サブスクリプションコマースはどのような商材でも活用できるわけではない。基本的には定期的に消費される食品や化粧品などの消耗品と親和性が高い。また、一方でキュレーション要素を加味することで消耗しない商品であるアパレルなどでも活用が進んでいる。今回紹介したサービスや、その他の代表的なサブスクリプションコマースサービスはいずれもそのどちらかの要素を持つものに限られている。

 

 

サービス内容に目を移すと、消耗品を低コストで提供するサービスからこだわりの商品をセレクトして届けるサービスまで、海外では様々なサブスクリプションコマースが展開されている。どのサービスにおいても配達されるボックスのデザインに力が入っており、「毎月届くちょっとした楽しみ」が演出されているようだ。Dollar Shave Clubは「毎月新品の清潔なシェーバーを利用できる楽しみ」を提供し、MY LITTLE BOXやMunchBoxは「毎月どんな商品が届くのか心待ちにする楽しみ」を提供することで、ユーザーからの支持を得ているのではないだろうか。この特徴こそがECにおけるサブスクリプションコマースの魅力と言えるだろう。日本でもMY LITTLE BOXの上陸や、定額購入型の商品を購入・出店できるサービス「BoxToYou」が引き続き賑わうなど、ECにおけるサブスクリプションコマースが再注目されている。BoxToYouでは食品、お酒、スイーツやコスメグッズなど様々な定額商品が出品されており、3,000円から5,000円程度の料金で定額購入を楽しむことができる。

さらにサブスクリプションコマースと銘打たなくても、昨今サービスが立て続けにリリースされている“ファッションレンタルEC”など、定期購入要素を併せ持つサービスはいまだに健在だ。サービスの浸透に伴い、あまりサブスクリプションコマースという表現を聞くことは少なくなってきたものの、いまだに定期購入はECサービスに一定の魅力を付加することに寄与している。定額を支払うことで毎月「ちょっとした楽しみ」を受け取ることができるサブスクリプションコマースの今後の根強い拡大に注目していきたい。

 

<参考>

活気づくファッションレンタルEC市場 - 各サービスはどのように差別化を図り勝機を見出していくのか

食卓のニーズにしっかり応える食品宅配EC - 歴史に裏打ちされた独自配送網と定期購入

 

 

 

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