大手コンサルティング会社PwCは、オンラインユーザーを対象に実施したPwC世界トータルリテール調査の結果をまとめ、公開した。同調査は29ヵ国・地域の2万5,000人を対象にしたもので、グローバル市場で生き残るために小売業者がどこに投資すべきかまとめられている。Amazonの小売業者に対する影響は大きく、競争が激しいEC業界上にいてソーシャルメディアサービスの利用価値も高くなっていると分析されている。
大きな影響力を持つAmazonの戦略
Amazonには、商品情報を調べる媒体としての存在、他の小売業者に対する侵食といった二つの影響を世界全体に対し持っていることが挙げられた。
56%ものユーザーがAmazonでの購入経験があると回答しただけでなく、他の小売業者に対する侵食の面での影響は大きいようだ。実に調査対象者の28%がAmazonの登場により小売店での購入が減ったと回答、さらにAmazonのみでしか買い物をしないというユーザーまで10%もいるという回答となっている。Lino casalino氏は、実店舗とのつながりが今後低下していくと考えている消費財メーカーが消費者との直接的な繋がりを持つことを重要視していることことを指摘。消費財メーカーもAmazonの存在による他の小売業者へ影響に注目を持っているという。
ソーシャルメディアサービス利用で顧客収得数向上へ
Facebookといったソーシャルメディアサービスに投稿された商品をワンクリックするだけで表示されている商品が購入できるようになったことが、ソーシャルメディアサービスの大きな発展に繋がっている。このことからソーシャルメディアサービス戦略への投資は大きな収益を生む可能性があるという。
また、2016年に打ち出されたアリババの戦略のように、ライブストリーミングやバーチャルリアリティなどコンテンツ主導の体制は競争が激しいEC業界において、消費者の注目を集め顧客収得に繋がるといえる。
多く人が偽造品に対する懸念をもつ
宝石、衣料品、化粧品といったラグジュアリー商品に対して、偽品ではないかという懸念から、オンラインでの購入を控えている消費者が多いことが調査で明らかになった。
Amazonの登場が、そのユーザーの小売店での商品購入頻度を減少させたり、商品発送の面での要求水準を高めたりと、他の小売業者への影響は大きなものである。また、SNSなどの普及で、消費者が商品を認知する過程において、ソーシャルメディアサービスは重要なものといえる。ラグジュアリー商品の購入において、規模の大きさや知名度の高さがECサイトの信頼に繋がっていることから、自社商品や、自社サイトの認知度を上げることは重要であるといえるだろう。