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数々の賞を受賞してきたオーガニックサイバーストアの顧客獲得・育成戦略

数々の賞を受賞してきたオーガニックサイバーストアの顧客獲得・育成戦略

マーケティング
2017/07/24

スイーツ、お酒、パン、フルーツなど、様々なグルメ商品を取り扱っているオーガニックサイバーストア。これまでに「Yahoo!ショッピング年間ベストストア」を13年連続受賞するなど、複数のモールで数々の賞を受賞しており、食料品ジャンルで数々の業績を残している。

そのオーガニックサイバーストアだが、今年3月からWeb接客ツール「ecコンシェル」を導入した。今回は導入に至った背景から、ECサイトでのWeb接客ツールの活用方法を聞き、成果を出すために必要なことを考えていく。

 

※今回のインタビューは、オーガニックサイバーストアにウェブ接客ツール「ecコンシェル」を導入したNTTドコモ社の協力で実施した。ecコンシェルは2017年7月現在で、業界最多の3,200社以上が導入している。人工知能を活用し、CVRや顧客単価の改善精度とスピードに特化したウェブ接客機能と誰でも扱いやすいインターフェースが特徴のウェブ接客ツールだ。

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オーガニックサイバーストアのサイト運用経緯

 

オーガニックサイバーストアは、株式会社ドゥマンが約20年にわたって運営しているオンライングルメストア。自社ドメインサイト(以下、「本店」)に加えて、Yahoo!ショッピング楽天AmazonWowma!Qoo10の5つのオンラインモールに出店し、国内最大級のグルメサイトとなっている。

特にスイーツ、グルメ、パン等の販売に力を入れており、お中元やクリスマスケーキなどの季節商品のラインナップも豊富だ。

その中でもオーガニックサイバーストアの看板商品は「濃厚ミルクシュー」シリーズ。

このシリーズは通算700万個以上を売り上げ、大ヒット商品となっている。大ヒットのきっかけとなったのは2004年のYahoo!ショッピングでの出来事。当時Yahoo!ショッピングではスイーツジャンルにはそれほど多くの競合となる店舗がいなかった。そのなかでオーガニックサイバーストアは「シュークリーム」に着目。そこで当初、大阪にあるシュークリームメーカーの協力を得て販売を開始。そうすると、その読みは見事に的中し、Yahoo!ショッピングの売り上げランキングは56週連続で1位を記録するほどの爆発的ヒットとなった。販売当初は週に2日出荷だったが、お客様の要望に応える形で毎日出荷を行うことができるように生産と物流体制の強化を行った。それでも生産が追いつかず一時期はユーザーが購入してから手元に届くまで6ヶ月待ちになるほどの時期もあったほどだ。

▲4度のリニューアルを経て、現在は「濃厚ミルクシュー5」を販売

このヒットを受けて、全国のお客様に均一な品質で商品を届けるために、それまでの冷蔵販売からECにより適した冷凍保存でのシュークリームを開発。さらに、より美味しい商品とするための工夫も開発担当者は惜しまない。有名店のシュークリームをほとんどすべて食べ尽し味の研究を行った。そのような研究を積み重ね、ECサイトで売り、お客様の口に入る際に最も美味しい状態となるように、現在までに4回の商品リニューアルを行っている。

「濃厚ミルクシュー」シリーズは今でも継続的に主力商品だが、新たに「濃厚ミルクシューアイス」や「あましこ」などの商品開発も行い、さらなる新規顧客開拓に力を入れている。

 

 

新規顧客とロイヤルカスタマー、異なるアプローチで売上は上がる

 

なぜ食料品市場で長年にわたりモールで数々の賞を受賞するまでにオーガニックサイバーストアが成長できたのか。それは、このように商品に対する想いが飛び抜けて強いことにある。

一般的に、扱う商品数を増やすためには自社で商品を新たに「作る」か、他社の商品を「探す」ことになる。オーガニックサイバーストアでは、自社で商品を作る際には、まず同じカテゴリーに入る他社の商品を徹底的に調査。シュークリームのケースもそうだが、味だけでなく、ECで販売するのに一番適した商品になることを最も重視し商品開発を行っている。他社の商品を卸して販売するケースでも、代理店や商社は使わず、メーカーに電話やメールなどで直接アプローチを行う。その上で開発者にしかわからない商品に対する想いを知り、それに共感をすることができるか、ということを非常に重要視していると代表の池田氏は言う。そしてその商品への想いはECサイトの商品ページの隅々にもほとばしっている。美味しいものを作り、お客様に届ける、という非常に熱い想いをもつことで、商品ページも説得力のあるものになっていくのである。

このような想いをよりしっかり形にしていくために、オーガニックサイバーストアは、最近ではモールだけではなく本店での売上獲得にも本腰を入れ始めている。本店ではモールにはなかった「新規顧客の開拓」「長年購入し続けているロイヤルカスタマーへのサービス強化」の2つの課題が存在していた。

その2つの課題を解決するために、2017年3月よりWeb接客ツールの「ecコンシェル」を導入した。Web接客ツールを活用することで、「新規」と「ロイヤルカスタマー」それぞれ合わせたアプローチが可能となると考えたためだ。

すぐに効果が出たのは、新規のお客様×シンプルなクーポン施策だった。未購入者に対して、300円引き、500円引きなどのクーポンを発行、つまり最初の購入をひと押しするための接客を行った。その結果、コンバージョン率が改善し、本店の売上額が約15%アップした。非常にシンプルな施策だが、接客配信数を増やすことにより、まだまだクーポンによる伸び代はあると考えているそうだ。

新規顧客に対してウェブ接客の効果が見られたため、今後はロイヤルカスタマーへの接客も強化していくとのこと。例えば、いつもの商品をおすすめするのが良いのか、お得なSALEを案内するのか、もしくは商品ではなく送料無料などのオファーが喜ばれるのか?検証すべき接客は多いが、モールではなく本店だからこそ、これらのマーケティング施策をデータドリブンに考え、実行することが可能になるのだ。

本店のアクセスデータから得られる情報は豊富だ。購入データ以外に、閲覧ページ、PV、セッション、滞在時間・・・1つ1つがユーザーの足跡であり、シグナルとなっている。

これらシグナルが購買にどう作用するか1つ1つ検証することは難しい。しかし、ecコンシェルであれば、AIがキャンペーンの中から効果の高い訴求を見つけ出し、適切な接客を自動で実施できる。運用の手間がかからず、担当者がクリエイティブなタスクに集中することができる点が、ecコンシェル最大の魅力だそうだ。

 

 

効果は目に見えてこそ・・・

 

ecコンシェルは操作が簡単なだけではなく、管理画面のレポードで施策の効果を直感的に把握することができる。下図について、緑の横線から見て上にグラフが伸びれば売上アップ、下に伸びれば売上ダウンと、ひと目で効果が分かる。“純増売上”と表現されていることがポイントであり、ウェブ接客しなかった場合と比較して伸びた売上という意味だ。つまり、単純にウェブ接客が関与した売上という意味でない、本当にツールの導入によって増加した売上ということである。

▲ecコンシェル管理画面

このシンプルかつ、ごまかしの無いレポートもecコンシェルの気に入っている機能の1つとのことだ。

 

 

ソーシャルとウェブツール活用で売上の底上げを目指す

 

既に4万人を超えるファンを抱えているFacebookページを持っているオーガニックサイバーストアであるが、新規顧客の獲得のために、FacebookやTwitter等のソーシャル上での露出強化を検討中だ。

▲現在、Facebookでは毎日15時に「本日の3時のおやつ」と称してティータイムにぴったりの商品を紹介している。

さらに、オーガニックからの検索流入の改善で、本店への集客数をさらに増やしていく目論みもあるようだ。その結果、本店のアクセス数が増加し、ecコンシェルでアプローチできるお客様も増やしていくことに繋がると考えている。ecコンシェルのAIを十分に活用し、それぞれのお客様の趣味嗜好に合った商品をタイミングよく紹介することにより、サイトに訪れたお客様を確実に購入まで結びつけていきたいという。

また以前からの課題であった、季節商品購入のみのユーザーをロイヤルカスタマーに育てるための施策も充実させていきたいという。例えば、お中元でビールを購入したお客様に対し、他の季節商品としても同種類の商品をレコメンドし、クーポンを配布していくことで継続的に購入を続けてもらう施策などを検討しているとのこと。ウェブ接客を活用することで、オーガニックサイバーストアのマーケティングはさらなる進化を見せてくれそうだ。

 

現在、市場には今回オーガニックサイバーストアが導入したecコンシェルのようなWeb接客ツールをはじめ、コンバージョンアップや売上改善のためのツールは数多く存在する。

導入するツールに迷った場合、どうしても導入費用や機能の多さに目を奪われがちだが、ツールをどれだけ簡単に使いこなせるか、という点にも十分に気を遣わなければならない。いくら導入費用が安く機能が豊富でも、ツール自体を使いこなすまでに時間がかかってしまっては本末転倒となるだろう。EC担当者が本来行うべき、売上をしっかりと上げるための施策をより早く、より多く実行できるツール選びをしていきたい。