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【世界】2017年、小売りの鍵は「効率化」と「合理化」 - 求められるデジタル化とオムニチャネルの活用

【世界】2017年、小売りの鍵は「効率化」と「合理化」 - 求められるデジタル化とオムニチャネルの活用

トレンド
2017/02/28

アジアマーケットに爆発的な広がりを見せた高級ブランド店。しかし飽和状態になった昨今、街角から姿を消していく店舗も多い。コンサルティング会社Boston Consulting Group(以降BCG)のレポートでは、こうした状況を踏まえたブランド店のアジア戦略再考の必要性を提示した。

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市場調査会社Bernsteinと合同で行われたこの調査報告によると、Eコマースの拡大とマーケットの飽和状態が重なる今こそ、小売はその運営の効率が試されていると言う。調査では、アジアの大都市における小売りの現状、米国の主要都市以外での高級ブランド店の売上、およびEコマースが小売りに与えた影響について検証している。

「人々の想像とは裏腹に、特にアメリカやその他の成熟したマーケットでも小売業が進出できる余地がある」とパリを拠点とするBCGの高級ブランド店分析専門家Oliver Abtan氏は言う。

「アジア、主に中国では、店舗の閉鎖や縮小、また第二、第三の都市での存在感の低下などが見られ、店舗単位の合理化が必須だ」と言う。

この調査は、高級品の都市毎の販売機会を追跡するBCGのMetroluxe Indexと、調査会社Alliance Bernstein社による36ブランド、全7,000店舗のデータベース“Bernstein Properietary Luxury Stoe Database”を分析した報告だ。

 

小売業の現状

旅行客を引き付けるロンドン、パリ、ニューヨークの様な大都市には、高級ブランドの需要がある。しかしその他のブランド店はファッション人気が高い都市に頼る以外の戦略を考えなければならない時が来ている。これは特にアジア主要都市マーケットに言えることだ。

アジアマーケットの成長に伴い、高級ブランド店は消費者へのアプローチとして、率先して香港、シンガポールなどのアジア主要都市に進出した。しかし 需要が今以上に増える見込みもない場所に過剰な出店をしたため、持続が困難な状況に陥っている。

東京、ソウル、香港などはロンドン、ニューヨーク、パリに並んで高級ブランドの需要が高い。これらの都市の収益が高いのは、そもそもの人口や、訪れる旅行客の多さも起因している。

アジアの都市では、高級ブランド店が継続不可能なまでに乱立。今後もその撤退の波は免れない。

BCGによる調査結果のグラフ

 

一方で、こうした撤退はブランド戦略を見つめ直す好機としても捉えられる。出店の方向性を見直したり、店舗の設置場所を検討したり、賃料を再交渉したり、あるいは既存店の販売強化をしたりと、作戦を立て直す努力ができるからだ。

Bernstein社のレポートによると、アジア市場失速の一方で、米国市場はまだ成長する見込みがあるとのこと。

高級ブランド店の売上トップの大都市に続き、好調なボストン、ワシントン、ダラスのような都市は、まだまだ高級ブランド店拡張の可能性を秘めている。

ロサンジェルスやニューヨークに比べ訪れる旅行客数は劣るものの、地元住民の所得は比較的高く、高級品の売上も安定しているからだ。

例えば高級百貨店チェーンSaks Finth Avenueは、The Collectiveという新たなコンセプトストアを実験的にコネチカット州Greenwichにオープン。

Saks社の旗艦店はニューヨークにあるが、新ストアの舞台にはニューヨークから程近く、更に平均所得の高いGreenwichが選ばれた。地元住民の資産面を考慮し、ROI(投資対効果。Return On Investment)が期待できると判断されたからだ。(続きを読む

 

Eコマースと実店舗

2016年9月にBCGは、高級ブランド品売上のオンラインショッピングが占める割合は、2020年までに全体の12%に上昇すると推測。レポートでは、現在のオンラインとオフラインを合計したブランド品取引のうち、約60%がソーシャルメディア、ブランドのWebサイトなどのデジタルチャネルの影響を受けているとも言及している。(続きを読む

こうしたデジタルテクノロジーへの移行は、高級ブランド市場にて予想以上の急展開を見せており、業界に大きな衝撃を与えている。この結果、ブランド店のデジタル化、オムニチャネル化加速の必要性が生じているのだ。

BCGとBernsteinのレポートによると、オンライン販売の成長は実店舗の需要を低め、次第に都市ごとの実店舗数が少なくなっていくという。一般的にアメリカのような(デジタル化が進む)国は、他国に比べその現象は顕著に表れるかもしれないとのこと。

現在アジアでは、モバイル端末と、モバイル端末を使った消費行動が著しく加速しているが、とAbtan氏は「Eコマースの発展とは別に、アジアにおける高級ブランド店の広がりは急激過ぎた」と言及。

「実店舗が現在も年間30%の割合で増加している。この設置の過密さが引き起こす問題は、これからも増え続けるだろう」。

「ただし直近6か月では、以前に比べて中国の実店舗での消費は増え、ブランド店の売上も伸びている。しかしこれも為替の状況次第だ」と続ける。

「アジアを始め世界的な高級ブランド店が今後求められるのは、真のオムニチャネル戦略。顧客をインターネットから実店舗に誘導し、そこでのブランド体験を通じてショッピングを楽しめるような仕組み作りなど、複数のチャネルを利用した販売戦略の完成度が求められている」と語った。

 

※当記事は米国メディア「Mobile Commerce Daily」の2/16公開の記事を翻訳・補足したものです。