多くの人々が利用する米大手コーヒーチェーンStarbucks社はアプリの最新アップデートで、待望とされていたAIを利用したチャボット“My Starbucks barista”を公開。アプリの使い勝手も大幅に改善し、最近では最も大規模となる更新を行った。
アップデートでは、注文ナビゲーションの簡素化に加え、注文履歴のタブ、おすすめ商品の表示など、Amazonでよく買い物するような消費者には身近な項目が追加された事が特徴。Starbucksや他の有名な小売業者などが注目していることから、オンラインとは関係ない一般的な店舗商売でも、他社と競争していく為にはアプリなどを利用し、より速やかなショッピング環境をつくり出す必要性を示唆する。
<参考>
チャットボットはECの未来にどのように影響を及ぼしていくのか - AIの進化と人間の暖かみの狭間で
「IoT(物の全てに通信機能を持たせ、互いに制御する仕組み。Internet of Things)は、消費者の生活を向上する為のもの。それには革新性や機能性をいち早く取り入れる事が必須。」と話すのは、データ分析会社Unacast CEOのThomas Walle氏。「その意味でStarbucks社が音声注文が可能なAmazon社の音声認識ユーザーインターフェイス“Alexa”を取り入れる事は必然だ」と語る。
「考慮したい事の一つは、デジタル機能を取り入れる事によってこれまでの運営方法に長期的に影響を及ぼすということ。オフラインモデル(店舗販売の小売業者)の消費者行動をデジタルで把握することは、忠実な顧客をキープすると同時に新規の顧客を増やしていく事にも繋がる重要なことだろう」。
アプリのアップデート
iOSとAndroidでアップデートが出来る最新のStarbucksアプリには、好評だった店舗支払いシステムにも新機能が追加された。ユーザーはStarbucks Cardの残高を確認でき、店舗支払いで使うバーコードがホームスクリーンに移動したことで、会計の手間が更に簡素化されている。ユーザーはサインアウトしている状態でも注文を始められ、サインインすれば会計の前に各店舗の商品情報を見る事も出来る。
最も便利な新機能は「最後に買った商品」のタブだ。特定のStarbucks店舗を指定しなくても、ユーザーは購入履歴を閲覧し注文が可能。注文した後には店舗情報、店舗までの道のり、商品を準備する時間までをも通知する。
アプリは、縦に並ぶタブからメニューを選択するデザインだが、「お気に入り商品」タブはアプリの最前列中央にわかりやすく配置された。その他の大きなアップデートとなったのは「新メニュー」の機能。近隣の店舗限定の新商品をハイライトしている。
尚、「おすすめ商品」の機能は、ユーザーがショッピングカートに商品を追加している際に他の商品を提案してくれるというものだ。
My starbucks Barista
おそらく今回最も注目を集めた新機能は“My Starbucks Barista”というプラットフォーム。これはAmazon社の音声認識システム“Alexa”のプラットフォームを利用したStarbucks Mobile Order and PayにAIを搭載した新しい機能だ。こちらは昨年12月に行われた投資家らとの対談日(Starbucks Investment Day)で発表。現段階では特定のiOS搭載デバイスのみ使用が可能だが、2017年の夏までにAndroidなどでも使えるようになるという。(詳しく読む)
My Starbucks Baristaでは、AIインターフェースにより顧客が食べ物や飲み物を音声で注文する事が出来る。
Starbucksは更にAmazon社Alexaのプラットフォーム内で実現する「Reorder Skill」の新機能を発表。それは、顧客によく購入する食べ物や飲み物を普段の生活の中で簡単に注文できるMobile Order & Payテクノロジーを利用したシステムだ。Alexaのデバイスに、ただ「Alexa、マイスターバックスを注文して」と話しかけるだけで、いつも買う商品を注文する事が出来る。
あらゆる点においてやはりStarbucks社は流行の先取り、特にモバイル端末の駆使に成功していると言える。このコーヒーハウスは2015年Mobile Retailer of the year賞を受賞しており、その勢いに陰りは見えない。(詳しく読む)
「最後に買った商品は、私自身も簡単に再注文したいもの」と言うWalle氏。「消費者の購買活動はデジタルかつオンラインに移行しており、Starbucks社はそこから生まれうるイノベーションのうち、顧客に提供できうるものは取り入れている」。
「マーケティングの視点から見ると、Starbucksは実際の人々の物理的行動のデータを理解し利用することによって、もっと精密で実効性の高い情報を提供する大きな機会がある」。
※当記事は米国メディア「Mobil Ecommerce Daily」の2/1公開の記事を和訳、補足したものです。