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ECモール・カート・アプリの2016年流通総額まとめ - 国内13・海外15の各主力プレイヤーの値から見る市場トレンド

ECモール・カート・アプリの2016年流通総額まとめ - 国内13・海外15の各主力プレイヤーの値から見る市場トレンド

トレンド
2017/03/15

ECモール・カート・アプリの2016年流通総額まとめ - 国内13・海外15の各主力プレイヤーの値から見る市場トレンド

 

早いもので、2017年が既に1/4が経過しようとしている。春の訪れも間近になったこのタイミングは、毎年各主力プレイヤーが前年の流通総額や売上高を公開している。今年も大手のECモール・カート・アプリなどの2016年の流通総額の数値データが出揃ってきた。今回は国内外の各主力プレイヤーの値を中心に紹介していき、それぞれの市場のトレンドを見ていく。

 

注)この記事には、同じ内容の2023年最新版、EC流通総額ランキングが既に公開されています。

2023年時点最新【2022年EC流通総額ランキング】国内21・海外25のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド
【2022年EC流通総額ランキング】国内21・海外25のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド 毎年2月~6月にかけて、世界中のEC業界の各主力プレイヤーが前年の流通総額や売上高を公開している。今年も5月中旬に公開された中国大手アリババグループの...

 

 

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国内のECモール・カート・アプリの流通総額

 

まずは、国内の主力モール・カートサービス及びパッケージ、フリマアプリなどの2016年(1月~12月)の流通総額を見ていく。公表されているサービスも多いが、残念ながら公表されていないサービスもある。ここでは公表データだけでなく、eコマースコンバージョンラボ編集部による推測値も掲載していく。

 

 

楽天市場 流通総額:3兆95億円(トラベル等含む)

楽天投資家向け発表によると、国内EC事業の流通総額は前年比12.0%増3兆95億円となった。この値は楽天市場だけでなく、トラベルなどの宿泊流通、GORA、ビジネス、ダウンロード、チケット、サロン、ケンコーコム、ラクマ、楽びんなどの値を含んだものとなっている。

また決算資料によると、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の成功により、楽天ユーザー数や注文数、楽天カード決済比率は着実に増加し、楽天市場モバイル流通総額比率は60.8%となった。

また、2016年のグローバル楽天グループ全体での流通総額(楽天カード取扱高を含む)は10.7兆円で、18.0%増。米国事業の黒字化に成功し、米国の流通総額は1.5兆円以上となった。ドイツとフランスのマーケットプレイスも順調に成長を続けている。

 

Amazon 流通総額:1兆8,530億円(推測)

Amazon.comが米証券取引委員会に提出した年次報告書の68ページによると、2016年の日本国内における売上高は107億9,700万ドル。2016年の平均為替レートを109.84円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円にして1兆1,859億円となった。前年2015年の同データは約1兆86億円(82億6,400万ドルで為替レートを122.05円とした場合)だったため、前年比17.6%の成長を遂げた計算になる。Amazonの売上高については、Amazonが売主となるものと、第三者が売主になるものの手数料10%程度が合計された値となっており、その割合は不明だ。しかし過去の経緯などから推測するに、全流通総額は、1兆8530億円程度となっているのではないだろうか。

 

ヤフオク 流通総額:8,896億円

Yahoo!JAPAN決算説明会資料によると、2016年のヤフオクを中心としたYahoo! オークション関連事業の国内流通総額は8,896億円となった。2015年は8,546億円だったため、前年比4.1%増と なった。

 

Yahoo!ショッピング 流通総額:6,982億円(アスクル除く)

同じくYahoo!JAPAN決算説明会資料によると、2016年のYahoo! ショッピング関連事業の国内流通総額は6,982億円となった。2015年は4,575億円だったため、前年比52.6%増となる。この流通総額は「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!トラベル」、有料デジタルコンテンツ、「LOHACO(アスクル(株)におけるLOHACO事業の売上高)」、「Yahoo!予約 飲食店」、等の取扱高を含んだものとなる。

Yahoo!のショッピング事業、オークション事業全体で見ると2016年の流通総額は1兆7,984億円となり、2015年は1兆3,787億円だったため、前年比30.4%増となる。

 

ZOZOTOWN 流通総額:1,956億円

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ決算報告資料によると、2016年のZOZOTOWNの流通総額は1,956億となり、前年比31.4%増となった。

 

メルカリ 流通総額:1,400億円(推測)

フリマアプリのメルカリホームページの情報によると月間総額は100億円以上だということがわかる。また、メルカリが官報で発表した情報によると、2015年7月から2016年6月までの売上高は122億5600万円だという。メルカリは10%の手数料が主な収入源のため、年間流通総額は順調に伸びていると仮定し1,400億円程度だと推測される。2015年の推測値が900億円のため、推測値同士の比較となるが前年比56%増程度で成長している計算となる。

 

MakeShop 流通総額:1,384億円(2015年)

MakeShop公式サイト発表によると2015年流通額は1,384億円。2014年の流通総額は1,291億円のため、前年比7.2%増。2016年の値の更新は今のところないようだ。

 

DeNAショッピング 流通総額:1,196億円(トラベル等含む)

DeNA決算報告資料によると、DeNAショッピングDeNAトラベルなどを含む、2016年のDeNAのショッピング・トラベル事業の流通総額は1,196億円となった。2015年は1,112億円だったため、前年比7.6%増となった。ショッピング事業のみは625億円、トラベル事業のみでは571億円となっている。

 

ショップサーブ 流通総額:850億円(推測)

ショップサーブについては公式サイトには累計値の掲載しかないため、過去の累計値からの逆算で算出していく。2013年3月掲載の流通総額の累計値は6,421億円、2014年3月は7,089億円、2016年3月に1兆円となっている。しかし2016年の累計値には過去のサイトサーブ時代の値も含まれているようにも推測されることから、実質的には2016年の流通総額は850億円と推測する。

 

フューチャーショップ2 流通総額:826億円

国内大手ショッピングカートFutureShop2を運営する株式会社フューチャーショップのオウンドメディア「ヒトテクノロジーラボ」の記事によると、2016年のFutureShop2の流通総額は826億円。前年比は不明だ。稼動店舗数は2,200店舗とのことだ。

 

フリル+ラクマ 流通総額:460億円(推測)

2016年9月に楽天が買収したフリマプリ「フリル」と、楽天が運営するフリマアプリ「ラクマ」の合計の2016年の流通総額は、ダウンロード数などの推移から460億円程度と推測する。

 

BASE 流通総額:110億円(推測)

インスタントECを提供するBASEは、2015年2月頃の時点でBASEの流通総額が数十億円後半と公表しており、100億円の大台も視野に入っているとのこと。2016年10月の記事では「年間で3桁億円規模に成長」しているとのことなので、2016年の流通総額は110億円程度だと推測される。

 

minne 流通総額:83.9億円

ハンドメイドサイトminnne(ミンネ)を運営するGMOペパボ株式会社決算資料のp33によると、2016年のminnneの流通総額は83.9億円となり、前年比88.3%増となった。またホリデーシーズンの特集や、送料無料キャンペーンが功を奏し、1日の注文金額が過去最高の5,600万円を達成するなど、大幅な成長を続けている。

 

推測困難なその他のサービス

オープンソースECパッケージEC-CUBEは、2014年と思われる年間流通総額は1,500億円となっているがその後の情報公開がなく推測不能。また、インスタントECサービスStores.jp、ECモールQoo10も情報公開が過去から行われておらず推測不能。

 

 

海外のECモール・カートの流通総額

 

続いては、海外の主力モール・カートサービスなどの2016年(1月~12月)の流通総額を見ていく。

 

Taobao(淘宝网/タオバオ) 流通総額:35兆0,070億円(推測)

Statistiaのデータによると、Taobaoの2016 年のQ1 のGMVは4,490億元、Q2は5,080億元。しかしAlibabaグループはQ3以降のGMVの公表を休止している。EC戦略アナリスター李東成の推測によると、2016年AlibabaグループのGMVの増加率は前年(2.95兆人民元)比15%増のおよそ3.4兆人民元となる見込み。そのうちTaobaoのGMVはAlibabaグループ全体の60.5%を占めているため、およそ2.1兆人民元となる見込みだ。2016年の平均為替レートを16.67円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降この値を全て使用)、日本円に換算すると35兆0,070億円となり、前年比16.1%増。なおwallstreetchの記事によると、2019年、Alibabaの流通総額は6兆人民元を目指しているとしている。

 

Tmall(天猫) 流通総額:21兆6,710億円(推測)

タオバオと同じ根拠から、中国大手ショッピングモールTmall(天猫)の流通総額を算出する。TmallはおよそAlibabaグループのGMVの39%を占めているため、流通総額はおよそ1.3兆人民元となる見込み。日本円に換算すると21兆6,710億円となり前年比13.9%増。また、財新網の記事によると、2016年、Tmallの流通総額はJD(6,582億人民元)のおよそ2倍となっているため、1.3164兆人民元となり、ほぼこの数値とも合致する。

 

Amazonグローバル 流通総額:16兆2,500億円(推測)

Amazon.comが米証券取引委員会に提出した年次報告書の17ページによると、2016年のグローバルにおける売上高は1,359億8,700万ドルで前年比27.1%増となった。この値はAWSなどのEC事業以外も含む。EC事業のみで見ると(年次報告書37ページ)、946億6,500万ドルで前年比19.4%増となっている。2016年の平均為替レートを109.84円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降この値を全て使用)、日本円にして10兆3,980億円となる。この値も第三者が売主になるものが手数料10%程度しか計上されていないため、グローバルでの流通総額は日本と同じ比率で考えるならば16兆2,500億円程度と推測される。

また、2016年の売上高を地域別に見ると、アメリカが903億4900万ドル、ドイツが141億4800万ドル、イギリスが95億4700万ドル、日本が107億9700万ドル、その他の地域が111億4600万ドルとなっており、日本は世界で4番目の売上高を誇る。本国米国の売上高が66%を占める状況は、前年度と変わりがないようだ。

 

JD.com(京東商城/ジンドン) 流通総額:10兆9,722億円

中国大手ショッピングモール京東商城(JD.com)京東全球購(JD Worldwide)などを運営するJD.comの決算発表によると、2016年の流通総額は6,582億人民元となり、前年比42%増となった。日本円に換算すると、10兆9,722億円となる。JD.comは昨年からeBayを流通総額で追い抜いたことになる。

 

eBay 流通総額:9兆2,046億円

米国eBay Inc. が発表した投資家向けリリースによると、eBayの2016年の流通総額は838億ドルとなり、日本円にすると9兆2,046億円となった。2015年の流通総額が820億ドルとなっているため、前年比2.2%増となっているようだ。この値はeBay.comのマーケットプレイスだけでなく、チケット二次流通のStubHubの値も含んだものとなっているが、第4四半期の値を見ると、前年度同様95%近くがマーケットプレイスの流通総額となっている。

 

Shopify 流通総額:1兆6,887億円

北米大手ショッピングカートサービスShopifyが発表した年次報告書によると、Shopifyの2016年の年間流通総額は153億7400万ドルとなり、日本円にすると1兆6,887億円となった。昨年の流通総額が77億ドルなので、前年比99.7%増となる。流通総額は、ブラック・フライデーとサイバー・マンデーを結ぶ年末商戦の週末に昨年度の倍となったようだ。カナダに本社があるShopifyだが、店舗数別に見ると米国72.9%、カナダ6.9%、イギリス6.7%、オーストラリア4.7%と上記は軒並み英語圏の国が並んでおり、英語圏のショッピングカートのデファクトとなっているようだ。

 

Suning(蘇寧易購/スニン) 流通総額 1兆3,336億円(推測)

東方財務証券の推測分析によると、中国第4位のECモールである蘇寧易購の流通総額は800億人民元超となる見込み。前年(502.75億人民元)と比較し、59.1%増。正確な数字は蘇寧易購のIR情報の更新待ち。日本円に換算すると1兆3,336億円となる。

 

Etsy 流通総額:3,122億円

米国ハンドメイドマーケットプレイスEtsy決算発表によると、Etsyの2016年の年間流通総額は28億4,199万ドルとなり、日本円にすると3,122億円となった。昨年の流通総額が23億8,839万ドルなので、前年比19.0%増となる。

 

中国の越境ECモール・アプリ

データ分析会社、易観分析の2月22日の推測分析によると、2016年越境EC輸入小売市場の流通総額は3,054.7億元前年比48%増となった。また、IImediaの報告によると、2016年越境EC輸入小売市場の流通総額のうち、網易Kaolaは21.6%、Tmall 国際は18.5%、VIP唯品会(国際)は16.3%、JD全球購は15.2%、聚美は12.4%、Bolomeは6.5%、Ymatouは5.1%を占めている。これから、網易Kaolaは660億元(1兆1,000億円)、Tmall国際は565億元(9,420億円)、VIP唯品会(国際)は498億元(8,300億円)、JD全球購はおよそ465億元(7,746億円)、聚美はおよそ379億元(6,314億円)、Bolomeはおよそ199億元(3,310億円)、Yamatouはおよそ156億元(2,597億円)となる。

 

推測困難なその他のサービス

マレーシアを中心とした、東南アジア最大級のショッピングモールLazadaは、毎年4月に流通総額の公開がある。2015年は13億ドル(2015年の為替レート122.05円で換算して日本円で約1,587億円)だが、2016年は特に10月以降に大規模キャンペーンで大幅に流通総額が伸びた可能性が高く推測不能とした。

中国第3位のECモールであるVIP唯品会、インド最大手のECサイトでありインドのAmazonとも言われるFlipkart、そのFlipkartと双璧を成すインド大手ECサイトSnapdeal、ヨーロッパの大手ファッション系オンラインショップでありヨーロッパのZOZOTOWNと例えられるZalando、韓国最大のショッピングモールGmarketはいずれも流通総額を公表していない。

 

 

国内13・海外15の各主力プレイヤーの値から見る市場トレンド

 

国内13サービス、海外15サービスの流通総額を紹介してきたが、ここで全てのサービスを流通総額順に並べてみる。

 

2015年に引き続き、上位2サービスは中国のアリババグループが運営しているタオバオとTmallだ。3位のAmazonはグローバルの総計でも中国国内市場のみをターゲットとしているタオバオとTmallには全く及んでいない。また、2015年は5位だった同じく中国のJD.com(京東/ジンドン)が、ebayを抜き4位に浮上。中国のEC市場の強烈なパワーを印象付ける結果となっている。2016年11月11日の独身の日にはアリババが1日の取引額で1,207億人民元(日本円で約1兆9,200億円)を記録し、昨年を32%上回る値となった。この値は、Amazon日本やShopifyの年間流通総額を上回るという驚異的なものだ。

 

サービス形態別に見てみよう。まずは、マーケットプレイス(C2C)型を流通総額順に見ていく。

 

マーケットプレイス型は、中国のタオバオが圧倒。次いで米国のeBayとなるが、その差は4倍弱と昨年より拡大している。またここには掲載していないが、Amazonは流通総額の4割がマーケットプレイス型によるものとされているため、額面通りに計算すると6兆円強となり、3番目にランクされることになる。国内最大手は依然としてヤフオクで、その地位は揺るぎないものとなっているが、伸びは5%以下となっており、1兆円には今後も届きそうもない。日本ではマーケットプレイス型の市場はそれほど大きく拡大しないのだろうか。

 

次にモール型を流通総額順に見ていく。

2015年と上位は変わらずTmallがAmazonを大きく上回り、それにJD.comが追いすがる形勢だ。JD.comの成長率が非常に高いため、あと数年でAmazonを追い抜く可能性もありそうだ。一方国内の各モールも流通総額を伸ばして来ている状況で、特にYahoo!ショッピングは50%を超える成長を見せており、1兆円も視野に入ってきているのではないだろうか。

 

次に越境ECモールを流通総額順に見ていく。今回は主に中国市場向けのものだけとなる。

通常のモール型では、Tmallが圧倒し、2番手のJD.comも3番手以下を圧倒しているのだが、越境ECモールとなると様相は変わってくる。1兆円を唯一超えているのは網易Kaolaという越境EC専門のモールだ。3番手のVIP唯品会(国際)は、通常のECモールでは3番手となっているが、越境ECモールではJD.comの上にいるという逆転現象が起きている。またここには記載はないが、Amazonも中国市場向けに越境ECモールを開始するなど、中国で主に盛り上がっている越境ECモールというジャンルの流通総額も非常に大きなものになってきている。

 

次にショッピングカートASPサービスを流通総額順に見ていく。

カートサービスでは、英語圏を中心に広まっているShopifyが2015年から倍増と大きく流通総額を伸ばしている。そのため、国内サービスとの差はさらに広がった。中国では独自ドメインでの開店が非常に難しいためカートやパッケージといったサービスは全く浸透しておらず、モールとマーケットプレイスに流通が集中している。国内では1位のMakeShop、2位のショップサーブ、3位のFutureShop2の3強は変わらず。ここには掲載はないが、それに続きたまごリピートなどのリピート通販系のカートサービスが続いているものと思われる。

 

eMarketer社のレポートによると、2016年のグローバルでのBtoCのEC流通総額予測は225兆円。そのうちアジアパシフィック地域は127兆円、北米地域は45.7兆円、欧州地域は45.5兆円となっている。これはC2Cやトラベル、チケットなどの取引を含まないものとなる。こうしてみても、今や全世界の56.2%のオンライン流通はアジアパシフィックにて行われており、北米・欧州までの地域で全世界の96.7%のオンライン流通が行われていることになる。

今回紹介した流通総額は、サービスによってはトラベルやチケットなどの幅広い事業も含む値である場合もあり、全てを公平に比較できる状態となっていないのは事実だ。しかし市場の大きなトレンドを理解する上では非常に重要なインプットとなるだろう。参考にして頂きたい。