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楽天と独自ドメインの店舗を運営する際の決定的に違う6つのポイント

楽天と独自ドメインの店舗を運営する際の決定的に違う6つのポイント

ノウハウ・ツール
2014/09/09

楽天に出店するべきか、独自の店舗を開店するべきか

 

何らかの物販を行っている企業が初めてオンライン上での店舗を構えようと思った場合、まず直面する最初の疑問は楽天に出店するべきか、独自の店舗を開店するべきか、というものだろう。楽天ではなく自社のブランドを維持した独自の店舗を開設したいという場合や、楽天でまずは気軽に出店したいというニーズなど様々な場合が想定される。

今回は一般的になかなか分かりにくいこの2つのタイプのECサイトの特徴を整理していく。これを参考にそれぞれの店舗の特徴から適切なタイプを判断していって欲しい。

 

 

楽天と独自ドメインの店舗を運営する際に決定的に違う6つのポイント

 

運営する側の立場に立つと、大きく分けて6つのポイントが決定的に違っている。

 

違いその1:集客力

最も大きな違いは集客力だ。ECの運営に携わったことが無い場合には勘違いしがちだが、独自ドメインでもオンライン店舗を開店したら何人かのお客さんはフラッと立ち寄ってくれるのではないかと思うかもしれない。しかし実際には1名も来店しない、というのが普通だ。そのために集客施策に膨大な手間暇をかけることになる。独自ドメインの場合は砂漠の真ん中に店舗を立ち上げたものだと思ってもらった方が良いだろう。しかし楽天などのモールは、モール自体に集客力があるため、価格がある程度目を引けば比較的簡単にお客様がフラッと来店してくれる可能性が高い。商店街、もしくは小さめのデパートの隅っこに店舗を構えたのと同じような感覚かもしれない。もちろん知名度のある商品やブランドの独自ドメインの店舗の場合は砂漠の真ん中ではなく、もう少し人影の多い街中に開店したような状態となり、フラッと来訪してもらえることが期待出来るが、いずれにしても楽天などのモールの集客力には遠く及ばないことは理解しておいた方がいいだろう。

 

 

違いその2:キャンペーン力

昨年から頻繁に開催されTVCMも行われている楽天スーパーセール。このスーパーセールに代表される販促キャンペーンだが、楽天などのモールは非常に頻繁に開催される。店舗側としてはその企画に(有料だが)乗っていくだけで売上を伸ばすチャンスを得られる。しかし独自ドメインの店舗の場合は、企画からキャンペーンの開催、そのための集客までの全てが店舗側の裁量に委ねられる。そのため、キャンペーンを行わないと売上が上がらないのは分かっているが、なかなか多くのキャンペーンを行うことは運営上難しくなってくるのが実情だ。体制も予算もしっかり付いているECサイトなら頻繁なキャンペーンも可能だが、通常のECサイトでは楽天のようなモールと同レベルの頻度でのキャンペーン開催は不可能だろう。

 

 

違いその3:広告の投資方法

独自ドメインの店舗の場合は、広告投資の方法は実に自由だ。逆にたくさんの選択肢の中から、最適なものをデータを見ながら選別し、チューニングし、継続していかなければならない。SEO、メルマガ、リスティング、アフィリエイト、リターゲティング、ソーシャルメディア、コンテンツマーケティングなどなど、しっかりと最新の集客手法を学び活用していく必要がある。しかし楽天の場合、モール内にお客様が十分にいるので基本的には楽天内の集客のために広告投資を行うこととなり、楽天の外での集客に対しての広告投資のウェイトは低くなる。しかし、楽天内の集客のための広告投資は非常に曲者だ。メルマガの送信、広告枠の購入が基本になるのだが、共にもちろん有料。しかも広告の効果が不明となるため、チューニングが非常に難しい。広告投資は楽天側に全てコントロールが委ねられていて、広告費も全て楽天に支払うという状況となってしまう。

 

 

違いその4:ノウハウとルール

独自ドメインの店舗の場合は、利用しているカートやシステムを使い、比較的自由にECサイトの運営を行える。しかし、良くも悪くも楽天の場合は、全て楽天のシステムの上で、楽天の作った企画に乗り、楽天に広告費を支払ってお客さんを集め、購入をしてもらうことになる。そのため、楽天のシステム独特の癖や特徴をしっかりと理解した上で、楽天専用のテクニックが至るところに求められる。ECサイトの運営を支援する多くの企業でも楽天専門の会社や逆に楽天は得意ではないというどちらかに軸足を置いた企業が多いのも事実だ。また、外部へのリンクは禁止、ページのレイアウトでも出来ないことが多いなど、楽天にはページ制作においていくつも禁止事項がある。これらのことを理解した上で、適切な運営を行っていかないといけない。

 

 

違いその5:顧客情報と各種データの取り扱い

ECサイトを運営していると多くの情報を収集することが出来る。顧客情報をはじめ、サイトへのアクセスデータ、広告投資の効果、そして売上高や在庫関連のデータなどだ。効率的なEC運営のためにはそれらのデータをしっかりモニタリングして活用していく必要がある。しかし楽天の場合はこの状況が大きく異なる。まず顧客情報は商品の配送のためには使えるが、基本的には楽天側に所有権があり、メールアドレスなどの情報は一切手に入らない。自店舗で購入してくれたお客様の情報にもかかわらずだ。また、サイトへのアクセスデータも楽天が提供している断片的なデータのみで、とてもしっかり活用して次の施策に活かせるようなレベルのものではない。追加的なデータ取得のためのタグの設定などはもちろん禁止されている。さらに一番の問題は、上述したキャンペーンにおける効果が全く分からないことだ。あそこの広告枠を30万円で購入したのに、その広告経由での売上がどの程度で、という検証が不可能なのだ。

 

 

違いその6:競争の源泉とサイトの注力点

ECサイトを作る場合まずはサイトの強みをしっかりと検討し、コンセプトを作り、その世界観でサイトを作りこんでいく。サイト全体で1つの世界観を伝え、ユーザーにその商品の良さをしっかりと伝えて購入まで押し切ることが重要だ。独自ドメインの店舗の場合は競争の源泉はサイトのコンセプトであり、サイト全体を通した世界観をしっかり作ることが重要となってくる。しかし楽天の場合多くのユーザーは、価格(と商品写真と商品名の始まり)を楽天内の検索結果で見てやってくる。そして同一や類似の商品の場合、送料を含めた価格が安い店舗の商品を機械的に探して、それをユーザーは購入する。その際、価格に大差がなければ商品ページの訴求力が高い店舗が選ばれる場合もあるかもしれない。しかし通常は店舗が作ったコンセプトや世界観はユーザーの心に残らないことが多い。仮に購入をしてくれてもユーザーはあなたの店舗で購入した記憶は残らずに「楽天」で購入した、という記憶しか残っていないだろう。そのため楽天では価格と、商品ページの訴求力の高さのみが勝敗を分けると言っても良いだろう。

 

 

楽天に出店した方が良い場合、独自ドメインの店舗を開店した方が良い場合

 

こうしてみると楽天と独自ドメインの店舗にはそれぞれ良いところと悪いところがある。集客力とキャンペーン力は楽天が誇る最大のメリットだ。しかし、広告の投資方法、ノウハウとルール、顧客情報と各種データの取り扱いについては独自ドメインの方が自由度が高くて優れているといえるだろう。

店舗において準備できる予算と体制が潤沢にあり、商品や店舗にブランド知名度がある場合は独自ドメインでの開店が基本となってくる。また、予算と体制がそれほどなく、商品や店舗の知名度がほとんど無い場合は楽天に出店することをおすすめする。また、どちらに出すか迷った場合は最終的には、それぞれの店舗において競争力の源泉がどこに作れるのか、価格勝負が出来るのかが重要な判断基準となってくるだろう。さらに先を見据えて、制作チームがどのようなサイト構築が得意なのか、どのようなノウハウを持っているのかと言った点で判断してもいいかもしれない。

 

 

 

いずれにしても、ECサイトを運営するのであれば、国内に15万店舗以上の競合サイトがある現在では、集客にお金がかかるし、売上をしっかり作るための運営は簡単ではないと言うことはどちらに出店しても変わらない事実である。