食品メーカーECを勝ち筋に導くランチェスター戦略 - 大手モールで永続的に利益を上げる構造の作り方
国内のEC市場は引き続き拡大基調にある。経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によれば、2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)に拡大している。その中でも、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングといった大手モールは、食品メーカーにとって最も重要な販路の一つだ。
ただし、市場が大きく、良くも悪くも地域性が無いため、競合も全国規模となる。その中でどのように売上を伸ばし、利益を確保し続けるのか。
楽天市場を例に取ると、2024年の国内EC流通総額は前年比1.5%減の5兆9550億円規模だが、出店店舗数は5万店舗以上にのぼる。その大半は事業として成立するような年商1億円規模に到達していないとも言われており、「モールは赤字になるプラットフォームだ」と言って退店していく企業も少なくないのが現実である。
この差を生むものは何か。広告運用の精度でも、ページ制作の上手さでもない。「戦略」である。
今回は、食品メーカーが大手モールを事業として捉え、永続的に利益を上げ続ける構造を作るための戦略 - ランチェスター戦略の弱者の法則を軸とした考え方と、その実行論を整理していく。
※当記事の戦略設計と実行論については、株式会社ネットショップスタジオが、食品メーカーをはじめとするEC支援の現場で蓄積してきた知見をベースにまとめている。また、大手モールにおける戦略設計と実行論を、自社の現状に当てはめて点検するためのチェックシートを用意した。攻めるセグメントの選定、自社の強みの棚卸し、面抑えの状況、そして戦術レベルの実行状況まで、自社の現状を可視化できる構成となっている。事業計画の見直しの起点として、活用いただきたい。
戦略と戦術 - どちらが上位概念か
モール運営は、戦略と戦術に分けられる。「戦術の失敗は戦略で取り返せるが、戦略の失敗は戦術で取り返せない」という言葉があるように、戦略の方が上位概念である。
いかに良いLPを作っても、いかに効率よく検索広告を運用しても、戦略が間違っていたら長期的には意味がない。まずは戦略を練り込むことが先決と言える。
大手モールにおける戦略とは、概ね「どのセグメントでどの商品群を投下して、いくらの売上を作るかを決めること」「攻めるセグメントの優先順位を決めること」と整理できる。
これが間違っていたら、LP制作にかけた労働力や広告費は長期的には無駄になる可能性が高い。「モールは赤字になるプラットフォームだ」と退店していく企業の多くは、この戦略構造の理解が抜けているケースが多い。
ランチェスター戦略の考え方
ランチェスター戦略は、もともとイギリスのフレデリック・ランチェスター氏が第一次世界大戦中に提唱した「ランチェスターの法則」を、戦後にコンサルタントの田岡信夫氏らがビジネスの販売戦略に応用したものとして知られている。「現代の孫子の兵法」とも称される、競争市場における代表的な戦略理論である。
ランチェスター戦略では、市場における強者と弱者で戦い方を分けて考えるのが特徴だ。
弱者の戦略は、大企業と同じ土俵で戦わず、局所的な市場で1位を目指す「ニッチ戦略」とされる。一般的には、特定の地域や領域に資源を集中させる「局地戦」、顧客と直接対話するなど接近戦に持ち込む「接近戦」、ピンポイントの分野だけの競合と戦う「一騎打ち戦」、特定の製品・サービスに特化する「差別化」、そして1位になるために市場をセグメンテーション(細分化)していく「一点集中」という考え方で整理される。
大手モールに出店している食品メーカーの多くは、市場全体で見れば弱者の側にいるケースが多い。基本的には、モール出店時にはこの弱者の戦略を使うのが定石と考えられる。
歴史例 - 桶狭間の戦いに学ぶ
歴史を一つ振り返ってみたい。
桶狭間の戦いは、約3,000人の織田軍が約3万人の今川軍に勝利した戦いとして知られている。
[画像:桶狭間の戦いの兵力比較図]
戦争は基本的に兵力差で決まるとされる。10倍の兵力を持つ相手に正面から勝つことは、理論上ほぼあり得ない。
これをモール出店に置き換えると、広告費が10倍の競合に売上で勝つような状態となる。たとえば、月100万円の広告費を使う競合に対して、月10万円の広告費で勝つということだ。冷静に考えると、確率的にはかなり厳しい話である。
では、なぜ織田信長は勝てたのか。
これは、ランチェスター戦略で説明できると言われる。つまり、兵力で勝てる一点を作り出した、ということだ。
織田信長は地の利を生かし、先回りをして、今川義元の本陣を急襲した。仮に今川義元の本陣の兵力が300人だったとすると、そこに織田軍3,000人を集中させれば、局地的には10倍の兵力差を作り出せることになる。
先ほどの理論で言えば、10倍の兵力差があれば、ほぼ確実に勝つ。実際に、織田信長は勝った。
大手モールに置き換えれば、市場全体ではなく、自社が圧倒的に強くなれる「一点」を見つけ出し、そこに人・物・金を集中させる、ということになる。
なお、ランチェスター戦略にはこの「弱者の戦略」とは別に「強者の戦略」も存在する。これは市場シェア1位の企業が、確率戦・広域戦・遠隔戦により弱者の差別化戦略をミート戦略で封じ込めるという考え方である。年商1〜2億円を目指しているフェーズであれば、まずは弱者の法則で十分なケースが多い。圧倒的なプロモーション費用を投下できる企業は限られるため、一般的な食品メーカーは弱者の法則で戦う方が現実的だろう。
3C分析 - 勝てるセグメントを見つける
そこで、勝てるセグメントを見つける作業が重要になる。この際、「自社が簡単に勝てるセグメント」を見つけることが必須となる。そうすることで、自社の強みを活かせるセグメントを見つけることができ、少ないリソース(ヒト・モノ・カネ)で、永続的に勝ち続けることが可能になるとされる。
ここで使うのが、3C分析のフレームワークである。3C分析は、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から事業環境を分析し、成功要因を見つける、マーケティングの基本フレームワークだ。
[画像:3C分析の概念図]
モール運営の実務では、3C分析を「市場規模がある程度あり、市場価格も低すぎず、競合も強すぎず、自社の強みが活きるセグメントを見つける作業」と捉えると分かりやすい。
モールのランキング構造から「セグメント」を捉える
セグメントの中で一番分かりやすいのが、各モールが準備しているランキングのジャンル構造である。1商品に対して1つしか紐づけられないジャンルに紐づいているので、分かりやすくその商品が所属するセグメントと言える。
まず、自社商品がモールのどのセグメントに紐づけられるのかを、各モールのランキング構成を見ながら確認していく。ランキング検索で自社の商品名を検索していけば、どこに紐づいているのかが分かるほか、ランキングのセグメント構造も見えてくる。
例えば楽天市場の場合、肉まんであれば「食品 > 惣菜 > 中華惣菜・点心 > 肉まん」というセグメントになっている。中華惣菜・点心の直下には、肉まん以外にもエビチリ、スープ、酢豚、中華ポテト、角煮、北京ダック、蒸し鶏、麻婆豆腐、揚げもち、餃子、シュウマイ、小籠包、ちまき、あんまん、春巻き、饅頭、セット・詰め合わせなどのセグメントが準備されている。
これを全ての商品に対して実施し、自社が当てはまるセグメントを全て洗い出していく。
なお、楽天市場の市場分析ツールを使用すれば、各ランキングのジャンルに紐づいたトップ100企業の売上を把握することも可能であり、市場規模の見極めに有効である。Amazonでは「ベストセラー」のカテゴリ別ランキング、Yahoo!ショッピングでも各種ランキング機能から類似の見立てが可能だ。
市場規模を見極める
市場規模がないところで売るのは難しい。必ず市場規模が一定あるセグメントを選ぶことが望ましい。トップシェア30%を目指すと仮定すると、1億円程度の市場規模があれば、年間3,000万円の売上が1つのセグメントで作れる計算となり、目線としては悪くない。それ以下の市場規模の場合は、そこに資本投下することへの慎重な判断が必要だ。
なお、ランチェスター戦略のマーケットシェア理論では、市場でトップに立つために必要なシェア率の目安として、上限目標値73.9%、安定目標値41.7%、下限目標値26.1%が知られており、シェア30%はおおむね「下限目標値を超え、市場の主要プレイヤーになる」水準と考えると目線が立てやすい。
モールというプラットフォームに出店している以上、「市場を作り出す」という発想は避けた方が良い。「既にある市場のシェアを取る」という発想で挑むべきと考えられる。
自社の強みが生きるセグメントを見つける
次に、簡単に勝てるセグメントを見つけるという観点が必要である。
モールに出店している全国のメーカーに対して、自社の強みが生きるセグメントを探していく。
モールで永続的に勝つためには、モールの中だけを見るのではなく、日本経済全体の中での自社の立ち位置を俯瞰して捉える視点が重要になる。具体的には、歴史、物流体制、ブランド、商流上の立ち位置、全販路(流通チャネル)、シェア状況、社内の組織構造などを整理し、それらの強みが、モールという全国規模で競合するマーケットの中で、どのセグメントにおいて最も活かせるのかを考えていく。この整理によって、短期ではなく、永続的に勝ち続けられる構造を描くことが可能になる。
EC支援を21年、500社以上のメーカー企業の戦略立案に関わってきたネットショップスタジオ代表の桑田氏によれば、自社の強みが全国メーカーに対して生きるセグメントが見つけられなかった事例はこれまで存在しないと言う。
楽天市場の場合、流通総額は近年伸び悩んでいる一方で出店店舗数も頭打ち〜微減傾向にあり、結果として1社あたりのパイは増えやすい構造にあるとも言える。AmazonやYahoo!ショッピングも含め、全体として競合状況を冷静に見極めれば、勝てるセグメントを見つけられないケースは多くないだろう。
セグメントが見つからない場合の打ち手
市場が大きすぎてどうしても他社の方が強いという場合は、キーワードでセグメントを切ってみる、というアプローチがある。
「肉まん」と検索すると、「肉まん ギフト」「肉まん 冷凍」といったサジェストが表示される。サジェストに出てくるキーワードは、一定の検索ボリュームがあるため、これも1つのセグメントと考えることができる。ジャンルが大きすぎて自社の強みが活かせない場合、キーワードでさらに細かく市場を切ることが有効である。
セグメントの切り方には、もう1つある。「贈答キーワード」だ。「誕生日プレゼント」のように通年通用するもの、「お歳暮」のように季節性のあるものがある。これらのキーワード候補は無数に存在する。各モールの検索窓で様々に検索しながら、自社の強みが活かせるセグメントを探してみると良い。
例えば、「退職」「職場」関連のキーワードをモールの検索窓に入れてみると退職関連のサジェストワードが出てくるため、小分けのお菓子などを扱っているメーカーには好相性のセグメントとなる。
それでも見つからない場合は、「商品をくっつけてみる」「商品を仕入れてみる」という選択肢もある。
事例1 - 市場規模の大きい商材を「入口」にする
角煮まんのメーカー企業の事例を見てみよう。角煮まん単体の市場では規模が小さすぎたため、肉まんの製造を開始し、肉まんと角煮まんをセットにすることで、市場規模の大きい肉まんから流入を作った。元々商品力の強い角煮まんで顧客満足度を高めて(良いユーザーレビューを獲得して)、その商品を入口として、本命の角煮まんをリピート購入してもらう、という戦略である。
事例2 - 周辺商品の検索面を取りに行く
続いてプロテインのメーカーの事例を見てみる。プロテイン本体は市場としては規模が大きいが、大手ブランドが上位を占めており、後発で正面から勝つのは難しい構造だった。そこでプロテインシェイカー(プロテインカップ)を仕入れてプロテインとセットにし、「プロテインシェイカー」の検索面を取りに行く戦略に転換した。プロテイン本体でリピートしてもらえれば良いので、シェイカーは比較的安価に出していけて、新規獲得が可能になる。
モールにおけるシェア=「面抑え」
セグメントが決まったら、ランチェスター戦略に則ってシェアナンバー1を目指していく。
モールにおけるシェアとは、平たく言えば「検索の面抑え」のことだ。複数の自社商品が、狙ったキーワードの検索結果1ページ目に並んでいる状態を作り出すこと。これが「面を抑える」ということと言える。
[画像:面抑えのイメージ図]
どのキーワードで面を抑えるかを決めていく。これは「肉まん」といったランキングのジャンル名通りのものでも良いし、「肉まん ギフト」といったサジェストで出た複合ワードでも良い。
ただし、あまりにも市場規模、検索ボリュームが少ないと、面抑えしても売上が取れない、ということが起こり得るので注意が必要である。
「肉まん ギフト」で面抑えして圧倒的トップシェアになった次に、「肉まん」というより上位の市場シェアを取りに行くのも鉄板の戦略となる。上位にどういった市場が存在するかも意識して決められると良い。
逆に「肉まん」というキーワードで勝てるようであれば、「肉まん ギフト」等の複合ワードでも勝てるため、そちらのシェア状況も意識すると良いだろう。
検索順位と面抑え状況のウォッチング
戦略の進捗を確認するため、モール内SEOで何位にいるのか、1ページ目に何商品が上がっているのか、を定点観測する必要がある。
目視で追うのは大変なので、各社から出ているモール内SEOの順位チェックツールを活用するのが望ましい。ツールを上手く活用できれば、運用工数を大きく削減できる。
ここまでが戦略フェーズである。
どのキーワードでモール内の面を取っていくことを明確にすることで、3年後のゴールに繋がる設計ができたと言える。ここからは、より実践的な、シェアを取るための実行論に入る。
シェアを取る実行論 - モール内SEOの上げ方
モール内SEOの順位決定の大枠は、「いかにそのキーワード検索経由で売れたか」が重要な要素になっていると考えられている。
そう考えると、広告運用、店内クリエイティブ、CRM、イベント設計の発想も変わってくる。
いかにモール内SEOの順位を上げるために、各施策を実施していくか。順位が上がった後はいかに2商品目を上げるか、3商品目を上げるか。面が取れた後はいかにその状態をキープするか。これが視点となる。
このキープする時に、自社の強みを活かしていれば、簡単には他社に逆転されない構造になる。シェアを守り、永続的な発展・利益確保に繋がる、というロジックである。
転換率の高い商品ページを作る
まず、売れる(転換率の高い)商品ページを作らなければならない。キーワード経由での売れ行きがモール内SEOに関連しているということは、キーワード毎の転換率をモールのアルゴリズムが見ている可能性が高い。
転換率を高める要素として、価格は重要である。競合他社との価格差をチェックする。価格差を差別化要因で埋められていれば購入してもらえるはずなので、差別化要因を意識したクリエイティブをLPに設置していく。
この際に設置するクリエイティブは、商品のこだわりも重要だが、ユーザーベネフィットの方がより重要となる。例えば食品であれば「おいしい」がメインになるので、美味しさが伝わるクリエイティブにする。
レビュー分析
ユーザーベネフィットがどこにあるのかは、レビュー分析を通じて見えてくる。
競合他社のレビューを分析して、ユーザーが何を目的に購入しているのか、何が不満なのかを見ていく。
そうすると、何を主張すべきかが分かる。「おいしさ」は勿論のこと、「安全性」「成分」「大容量」など、ユーザーが求めている価値が見つかる。
また、レビュー分析を進めると、購入している年代・性別などのターゲット像、贈答利用、子供のため、などの利用シーンも見えてくる。
そうした内容も、LPの訴求として有効である。例えば、子供が食べている機会が多いのであれば、子供がおいしそうに頬張っている画像などは、よりユーザーベネフィットに近い表現となる。
ポイント・クーポン
各モールのイベントに合わせてポイント・クーポンを発行することが推奨される。
安くなるという効果も勿論あるが、モール側が検索結果や商品ページ内で目立つように訴求してくれたり、通知がユーザーに届いたりするので、転換率が上がりやすくなる傾向にある。
どれくらいの条件のポイント・クーポンを発行したら、転換率にどれくらいの効果があったかを試していくと、運用の精度が上がる。
CTR - 検索結果でクリックされるための工夫
検索結果画面でいかにクリックしてもらえるか。CTRの観点もモール内SEO対策に重要となる。
検索結果画面で表示されるのは、サムネイル、商品名の頭、価格やポイント、クーポン等である。特にサムネイルは重要要素であり、検索結果の競合他社と比較して、ユーザーからどう見られるか、ユーザーの気持ちになって考える必要がある。
CTRは検索連動型広告(楽天市場のRPP広告、Amazonのスポンサープロダクト広告、Yahoo!ショッピングのアイテムマッチなど)を出稿すれば明確に数値に出るので、サムネイルを切り替えながらABテストを行うと良い。
イベント期間中のポイントやクーポンの情報をサムネイルに掲載することも有効である。クーポンやポイントの情報は検索結果画面でモール側がアピールしてくれるが、サムネイルで掲載されていた方が視認性が高い。
サムネイルは検索結果画面だけではなく、ランキングの結果やお気に入り画面など、あらゆる画面に反映されるので、非常に重要である。特にお気に入りに入れて比較しながら購入するユーザーもいるので、お気に入り画面でどう見えるか、という観点も外せない。
商品名の冒頭も検索結果画面に出るので重要である。こちらもイベント中は【本日限定ポイント10倍】等とCTR対策に活用すると良い。
検索連動型広告
各モールには検索キーワードを指定して露出できる広告メニューがある(楽天市場のRPP広告、Amazonのスポンサープロダクト広告、Yahoo!ショッピングのアイテムマッチなど)。キーワードを指定して露出できるので、キーワード経由の売上を見るモール内SEO対策との相性が良い。
定額・ポッキリ型の広告枠などと比較すると、新規獲得単価自体は上がってしまうことも多いが、モール内SEOに好影響がある点を考慮すると、外せない広告と言える。
狙ったキーワードでPC枠のうち何枠抑えるかは状況によるが、上位枠を集中的に押さえに行くのも有効である。
検索連動型広告も該当キーワードでの転換率が入札単価に関わってくるため、転換率を高めるためのページ訴求が改めて重要となる。
CRM - メルマガ・LINE・スーパーリンク
メルマガやLINEもモール内SEOの観点を入れて実施すると効果的である。キーワード経由ではないが、該当商品の売上を狙って上げにいくことができるので、SEOに有効となる。
更に踏み込んだ施策として、楽天市場の場合は「スーパーリンク」と呼ばれる手法がある。
CRMのリンク先をモールの検索結果に飛ばしてしまう、という施策である。「肉まん」という検索結果に飛ばす。自社商品だけが表示されるように、素材や価格帯などで絞った検索結果のURLに飛ばす。2026年初頭時点では、楽天市場のアルゴリズム上、これが有効な施策となっていると言われている。
もしくは、自社で買ってみる、という方法も短期的には影響があるとされる。順位がどうしても上がらないキーワードがあれば、そのキーワードで検索して自社で買ってみると、順位が上がるケースが多い。何にしろ、モールのアルゴリズムに対して、「このキーワードで買われている」という事を示すことが重要となる。
なお、AmazonやYahoo!ショッピングなど他のモールでもアルゴリズムの基本的な考え方は近いと考えられるが、各モールごとに有効な手法は異なるため、各モールの最新動向を踏まえた検証が必要である。
店内導線
モール内SEOの観点では、狙った商品に対してアクセスを集めるということになる。
スマホのヘッダバナーや商品説明文最上部がタップされやすい箇所となる。楽天市場の場合は、スーパーリンクのような検索結果へのリンクを仕込むと、効果が高くなる。
LPの転換率アップコンテンツ
LPの転換率アップコンテンツとしては、モールのランキング受賞履歴の掲載や、ユーザーレビューの掲載が有効である。
ランキングに掲載されたという客観的な評価、ユーザーレビューの評価点数(一般的に4.5を超えると高いと言われる)、ユーザーレビューをピックアップして選ばれている要因をハイライトさせること、これらが転換率の向上に繋がる。
こうした作業は手動だと工数が大きくかかるが、自動化ツールも各種出ているので、運用効率化のために検討する価値がある。
モール内SEO結果のチェック
以上の施策を全て実行していけば、モール内SEO順位が大きく上昇しているはずである。
モール内SEOの順位チェックツールで最高順位が何位にあるかをチェックする。また、1ページ目に何商品が上がっているかもチェックする。
そして、モールが提供する管理画面(楽天市場であればRMS、Amazonであればセラーセントラル、Yahoo!ショッピングであればストアクリエイターProなど)で流入キーワード数もチェックし、該当キーワードや関連キーワードがどれくらい流入しているかを確認し、モール内SEOのインパクト(改めて市場規模も含む)がどれくらいあるかを確認する。
更に、商品ごとの新規獲得数もチェックすると、SEO向上 → アクセス増加 → 新規獲得の流れがしっかり確認できる。
ここでアクセスが目標に対して足りなければ、順位を更に上げる施策、もしくは1ページ目に上げる商品を増やす施策を開始する。
戦略転換 - やり切っても伸びない場合
一方で、ある程度やり切っても思ったより流入が低かった場合は、市場規模が小さいということになるので、次のキーワード・市場を狙うようにする。
一度決めた戦略はしっかりやりきることが重要なので、関連キーワードでのとり逃しがないかなど、細かくチェックする必要がある。
最終的なゴール - 年商1億円・広告費率5%
いくつかのセグメントでのシェア獲得 ─ つまりモール内SEOでのキーワード面抑えが完了したら、広告費の比率を少しずつ下げていく。
一つの目線としては、年商1億円、広告費率5%。これが、大手モールで食品メーカーが事業として成立する一つの水準となる、というのが現場感覚に近い数字である。
大手モールで永続的に利益を上げる
大手モールで食品メーカーが事業として成立するためには、戦術ではなく戦略から組み立てる必要がある。具体的にはランチェスター戦略の弱者の法則を採用し、自社の強みが圧倒的に生きるセグメントを見つけ、そこで「面を抑える」ことで永続的に勝ち続ける構造を作る。
これが、大手モールにおける勝ち筋の本質と言える。
戦略が定まれば、戦術(モール内SEO・広告・CRM・LP)は、その戦略を実装するための手段として位置づけられる。逆に戦略がないままに戦術を磨いても、長期的には事業として成立しないリスクが高い。
26兆円を超える規模のBtoC-EC市場、その中心にある大手モールというプラットフォームで、自社が「勝てる一点」を見つけることから、全てが始まる。