EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」

2025年はeコマース注文が急増し、その多くを高パフォーマンスブランドが主導した

2025年はeコマース注文が急増し、その多くを高パフォーマンスブランドが主導した

マーケティング
2026/01/23

Omnisendの2025年eコマース・マーケティング調査によると、注文数の増加は高パフォーマンスブランドに集中しており、消費者はクリック数こそ減少したものの、購入に至った際には以前より多くの支出をしたことがわかった。


2025年の米国におけるeコマース注文数は前年比で147%増加し、その成長の半分以上は高パフォーマンスブランドによって牽引されたことが、Omnisend(eコマース向けのマーケティング自動化プラットフォームを提供する英国企業)が1月14日に発表した調査で明らかになった。

この調査は、Omnisendのメール・マーケティングプラットフォームを通じて世界中に送信された270億件のメール、3億2,100万件のSMS、4億5,800万件のプッシュ通知に基づき、15万のブランドにわたるeコマースパフォーマンスを分析したもの。

上位5%のブランドが全注文数の増加分の54%を占めており、成長が比較的少数の高パフォーマンス企業に集中していることが示されたと、同調査は指摘している。

注文急増につながった二つの要因は、「意図的な購入(衝動買いや習慣、マーケティングの圧力ではなく、熟慮したうえで個人の目的に沿って行われる購買行動)」と「事前購入」の増加である。Omnisendのeコマース・小売アドバイザーであるGreg Zakowicz氏は、「意図的な購入が大幅に増えている」と指摘する。

「この傾向はおそらく18~24か月前から続いているが、2025年は特にそれが加速したと思う」と同氏。
「2025年の年初は、関税や物流のボトルネックによる価格上昇が主な話題だった」と同氏は説明する。「そのため、昨年の年初には、予想される値上げに備えた前倒し購入が大量に発生した」。
「この二つの要因が重なったことで、全体的な購入数の増加が一気に加速したのだと思う」と同氏は述べる。

また、Omnisendのeコマース専門家Marty Bauer氏は、「2025年に見られた傾向は、米国経済全体の状況を反映している」と付け加える。

「成長は回復したものの、その恩恵がすべての人に行き渡ったわけではない」と同氏は声明で言及。「数年にわたるインフレと不確実性にもかかわらず、人々は依然として支出意欲を持っていた。ただし、どこにお金を使うかについては、以前よりはるかに慎重になっていた」。
「顧客行動に迅速に対応できたブランドには明らかな優位性があった一方、そうでないブランドは追いつくのに苦労した」と同氏は続けた。


注文増加の要因

オンラインでの商品購入の手軽さも、注文数の増加に寄与していると語るのは、カリフォルニア州ラ・クレセンタにある貨物輸送・eコマース技術企業Freight Rightのマーケティング担当副社長、Mike Emiliani氏である。

「今や、オンラインでの購入がこれまでになく簡単になっている」と同氏。「商品を見つけ、チェックアウトの流れに追加し、注文を送信し、場合によっては当日中に受け取ることができる。しかも、こうした一連の作業が、ほぼ全ての主要ソーシャルプラットフォームや検索ネットワークで、これまで以上に簡単に実現できるのだ」。

「取引されている商品や、注文数の急増を支える商品のほとんどが小包サイズのものであるため、購入をより簡単にするための開発努力はそこに集中しており、その取り組みの成果が今の成長につながっている」と同氏は述べる。

Shopifyストアの開設、Google広告とTikTok ShopEtsy(ハンドメイド作品に特化した世界最大級のオンラインマーケットプレイス)間の商品フィードの統合、顧客セグメントごとに作成される販売促進のための詳細なメール自動配信キャンペーンなど、かつては時間がかかり、手間が多かった作業も、今では午後のうちに完了できるようになった」と同氏は付け加える。

また、アトランタの経営コンサルティング会社Ardinal Strategy Groupの創設者兼マネージングコンサルタント、Andre Inverdale氏は、ソーシャルメディアでの販売や柔軟な配送オプションも注文数の増加を牽引していると付け加える。

「多くのeコマースブランドは、ユーザー生成コンテンツを主体としたソーシャルメディアプラットフォームを直接販売と統合して活用している」と同氏。「TikTok Shopのようなプラットフォームは、既存ユーザーを顧客基盤とする小規模ブランドにとって、直接販売と配送の大きな推進力となっている」。

「オンラインショッピングに対して消費者が感じる快適さは、かつては店頭でしか購入されなかった商品や、配送リスクが高かった食料品や産業機器のような商品についても、ブランドが配送・配達オプションを提供する機会を生み出した」と同氏は続ける。「こうしたオンラインショッピングの利便性により、企業は店頭業務を縮小し、少なくとも自社商品の90%に配達オプションを導入せざるを得なくなっている」。


クリックは減少、支出は増加

Omnisendのレポートでは、消費者がマーケティングに反応する頻度は低下したものの、ひとたび反応して行動に移した際の購入額は増加していることも明らかになった。

同レポートによると、前年比で平均注文額は149ドルから182ドルへ22%増加し、マーケティングメール1通あたりの平均収益も0.08ドルから0.10ドルへ17%増加した。また、メールのクリックから購入に至るコンバージョン率は5.0%から7.69%へ、51%上昇した。

マーケティングパフォーマンスデータは、米国ブランドにとって「量」よりも「質」が重要になっていることを示している、と同レポートは説明している。クリックの獲得は難しくなったものの、個々のインタラクションの価値は高まった。結果として、ブランドは、より少ないエンゲージメントでより多くの収益を生み出しており、これは消費者がより意図的な購買行動へと移行していることを反映している。

Omnisendの調査担当者は、メールのクリック率が33%減少したことも報告している。「2025年はクリックを獲得するのが難しくなったが、その価値はむしろ高まった」と、同社のBauer氏は指摘する。「消費者はより慎重に選択するようになったが、購入に至った時には、より多額の支出をする用意ができていた」。

「だからこそ、インタラクション数が少なくても、より多くの収益を生み出すことができたのだ」と同氏。「一つ一つのクリックに、以前よりも強い購買意図が込められていた。この変化により、量よりも効率性と関連性を重視したブランドが恩恵を受けたのだ」。


ゼロクリック検索による圧迫

「ゼロクリック検索」の台頭により、クリック数の獲得はさらに困難になっている、とFreight RightのEmiliani氏は付け加える。

「ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索を実行したものの、何もクリックしないことをいう。多くの場合、検索結果がアプリ内でそのまま表示されるためだ」と同氏は説明する。

「ゼロクリックは何年も前から増加傾向にあり、マーケティング関係者は以前からその問題を指摘してきた」と同氏。「GoogleのGeminiChatGPTなどによって生成された要約や回答が普及することで、ゼロクリック検索はさらに増加すると予想される」。

ArdinalのInverdale氏は、米国人があらゆるマーケティングとの関わりを減らしているわけではないと主張する。

「消費者の最終的な意思決定は、従来型のPPC(クリック課金型広告)キャンペーンよりも、商品コンテンツやUGC(ユーザー生成コンテンツ)、口コミの影響を強く受ける」と同氏は説明する。「商品や関連コンテンツを発見した段階で納得感が得られれば、消費者はより多くのお金を払い、再購入する可能性が高まる」。


自動化が成果を生む

同レポートによると、自動化は買い物客を囲い込む上で非常に効果的であるという。カート放棄リマインダー、過去の購入履歴に基づくおすすめ、Webサイト登録、ガイドのダウンロード、顧客からの問い合わせ対応など、自動化されたメールは、全メール送信数のわずか1.7%に過ぎないにもかかわらず、メール収益全体の25%を生み出ている。また、送信メール1通あたりの収益も2.01米ドルと、スケジュール配信メールの10セントを大きく上回っている。

さらに、クリックからコンバージョンに至る率も自動化メールの方が高く、メールでは27.05%(スケジュール配信は7.69%)、SMSでは3.61%(同0.89%)、プッシュ通知では17.88%(同3.22%)と、それぞれ高い数値を示している。

自動化に依存していたブランドは、消費者に購入を促そうとしていたわけではない。すでに購入意思を示した顧客に対して対応していただけだ、とOmnisendのBauer氏は説明する。「注目度が限られ、買い物客の選択肢がかつてないほど多かった2025年においては、このアプローチの方がより効果的だった」。

「自動化されたメッセージが高い成果を上げたのは、それが消費者の買い物を邪魔せず、現代の買い物スタイルに自然に溶け込んだからだ」と同氏は付け加えた。


※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の1/14公開の記事を翻訳・補足したものです。