EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」

2026年の検索と発見についてマーケターが知っておくべき6つのこと

2026年の検索と発見についてマーケターが知っておくべき6つのこと

マーケティング
2026/01/09

AIは、従来型の検索を急速に置き換えている。自社ブランドがAI生成の回答に表示されないのであれば、2026年の発見レースですでに遅れを取っているということだ。


AIは消費者の検索・発見・購買決定プロセスを根本から変えつつあり、その変化は2026年にさらに加速するだろう。検索はもはやキーワードだけのものではない。重要なのは、コンテキスト、対話、そして信頼である。可視性を保つには、購買プロセスにおける最初の接点が検索エンジンではなくAIインターフェースとなる世界に戦略を適応させる必要がある。

マーケティングチームは、以下の点を知っておく必要がある。


1.AI
は従来型の検索行動を置き換えつつある

消費者は検索エンジンを避け、会話型AIアシスタントに直接アクセスして、買い物のおすすめ、商品リサーチ、サービス提案を求める傾向が強まっている。米国の経営戦略コンサルティングファームのBain & Companyによると、現在の検索の約60%はクリックなしで終了しているという。

「商品発見から購入までの経路は、ますますAIチャットボット上で完結するようになるだろう」と、Network Solutions(米国のITサービス企業)のオンラインマーケティング担当シニアディレクター、Alicia Pringle氏は述べる。「より多くの顧客が、生成AIでサービスを調べるようになるだろう。AIアシスタント経由で組み込み型決済が行われる未来は、もうまもなく到来する」。

この変化は可視性に大きな影響を及ぼす。AI生成の回答に自社ブランドが表示されない場合、見込み顧客から「存在しないもの」として扱われてしまう可能性がある。


2.
発見は今や、ユーザーが選ぶものではなく、キュレーションされるものに

発見のプロセスは、もはや自然発生的ではない。PerplexityChatGPTのようなAIツールが門番として機能しているからだ。「インターネットへの入り口には用心棒が立っている」と、テキストサブスクリプションプラットフォームSubtextのCEO兼共同創業者であるMike Donoghue氏は語る。「何を見るかですら自分で選んでいない。アルゴリズムが提示してくるのだ」。

マーケターはSEOだけでなく、AIによるキュレーション向けにも最適化する必要がある。つまり、AIが解析し、自信を持って提示できる、機械可読なコンテンツや構造化データ、明確な価値シグナルを作成することが求められる。


3.
ブランドの可視性は今や、AIアシスタントによって形成される

GoogleのAI Overviews(AIによる概要)のようなAIシステムは、人々がブランドを認識する方法を再定義している。

「ゼロクリック検索やAI Overviewsの台頭により、クリック率は大幅に低下した」と、Randstad Digital(企業のデジタル変革を支援する、オランダに本拠を置くデジタル活用支援企業)傘下のCella(クリエイティブ・マーケティング領域を専門に扱うブランド)でデジタルマーケティングディレクターを務めるMary Baum氏は述べる。「マーケティングのROI(投資対効果)をタッチポイント全体で証明することは、これまで以上に難しくなっている。そのため、ブランドの可視性やAIによる引用、ファネル段階のエンゲージメントといった指標の重要性が増している」。

これは、マーケターがクリック数以外の指標も追跡する必要があることを意味する。自社ブランドはAIによる要約にどれくらい引用されているだろうか?ChatGPTのようなアシスタントは、あなたのコンテンツを利用して回答しているだろうか?

さらに、AIの更新により、以前は表示されていたブランドが検索結果から消えてしまうことがある。geoSurge(英国に本拠を置く、ブランドの可視性を最適化するテック企業)の最近のレポートによると、英国ではRyanair(アイルランドを拠点とする格安航空会社)がGPT-4(OpenAIの第4世代AIモデル)では航空券予約の検索に表示されていたものの、GPT-5GPT-4の後継モデル)では姿を消した。また米国では、ChanelMichael KorsBurberryといった高級ブランドがGPT-4では上位に表示されていたものの、GPT-5では検索結果から完全に消えたという。

「これは例外的なケースではなく、構造的な問題である」とgeoSurgeの共同創業者兼CEOであるFrancisco Vigo氏。「LLM(大規模言語モデル)は、リアルタイムの検索インデックスから情報を取得しているわけではない。更新のたびに変化する、圧縮された記憶から回答を生成している。つまり、あるブランドが一夜にして『高い可視性』から『完全に消える』状態に陥り得るのだ。そして大半の企業は、それが起きたことすら気づかないだろう」。


4.
データ品質はAIの可視性の鍵となる

データがクリーンで構造化され、アクセス可能でなければ、AIシステムはそれを活用できない。さらに悪いことに、誤った内容を「ハルシネーション」として生成してしまう可能性もある。Propel Software(クラウド型プラットフォームを提供する米国のソフトウェア企業)のCEOであるRoss Meyercord 氏は、「データ管理が不十分な企業は、デジタル購買プロセスにおいて存在感を失うリスクがある」と警告する。

ブランドは、商品フィード、スキーママークアップ、インテントシグナルなど、AIシステムが確実に処理できる形式でコンテンツを公開する必要がある。


5.
文化的インテリジェンスがこれまで以上に重要に

AIが発見のタッチポイントをより多く担うようになる中で、ブランドを差別化する要素はデータだけでなく「レゾナンス(共鳴)」である。Digital Culture Group(AIを活用したオーディエンス分析と広告最適化を行うアドテク企業)の創業者でパートナーシップ責任者であるCrystal Foote氏は、「スタートアップは、そのアジリティ(機敏性)と文化的流動性により、既存のプラットフォームを上回る成果を上げている」と指摘する。同氏は、今後のM&Aは「人々が行動する前に、彼らの感情を読み解くツール」にますます焦点が移るだろうと予測する。

これはマーケターにとって、キーワードだけでなく、共感力やストーリー性、ニュアンスへの投資を促すシグナルである。


6.
マーケターは生成AIによる発見のための新たなプレイブックが必要

UserTesting(ユーザー調査プラットフォームを提供する米国企業)の「2026 marketing priorities survey(2026年マーケティング優先事項調査)」によると、AI検索向けにコンテンツを最適化しているマーケターはわずか37%に留まっている。

出典:UserTestingの「2026年のマーケティング優先事項調査


「AI検索は”Google 2.0”ではない」と話すのは、AI広告ネットワークKoahのCEO兼共同創業者、Nic Baird氏である。「ユーザーはアドバイザーのようにAIと対話し、購入前により広範で探索的なファネルの中で選択肢を探っている。成功するチームは、ユーザーが後で自社サイトを訪問することを期待するのではなく、発見の瞬間に直接価値を提供するようになるだろう」。

これは、マーケターが目先のクリックを追いかけるのをやめ、AIが自信を持って推奨できるような「認知的適合(cognitive fit)」、つまり価値が高く、構造化され、ブランドに合致したメッセージングに向けたコンテンツ最適化を開始すべきことを意味する。

 

要点:2026年に向けた「発見可能性」の再考

生成AIは、検索を会話へ、発見をキュレーションへと変革している。ブランドが可視性を維持するには、以下の対応が必要である。

  • AIが解析・取得しやすいようなコンテンツ構造を構築する
  • ランキングだけではなく、関連性に焦点を当てる
  • 買い手の検索内容だけではなく、思考プロセスに合わせてメッセージを整える

最も迅速に適応するマーケターは、「新たな入口」で買い手と出会えるようになるだろう。それはGoogleのホームページではなく、次の質問に答えるAIアシスタントなのだ。


※当記事は米国メディア「MarTech」の1/6公開の記事を翻訳・補足したものです。