何が起こるかを予測することに注目が集まるが、何が起こらないかを知ることも、同じくらい価値がある。
毎年マーテックの世界では、「次に何が来るか」について大胆な予測があふれている。しかし、現実を直視しよう。これらの予測の中には、決して起こらないものもある。ここでは、2025年には実現しない10のマーテックトレンドと、それらが現実的でない理由を紹介しよう。
1.マーテックが安価になる
テクノロジーのほとんどの分野で、デバイスは日々小型化し安価になっているが、マーテックソフトウェアは煩雑で、高価になり続けている。この状況はこれからも変わらない。私たちは今年、そしておそらくこの先何年も、マーテックツールにもっとお金をかけることになるだろう。なぜか。
この問題の一端は、既存のマーテックツールベンダーが優位に立つ傾向があり、スタートアップが既存のマーテックカテゴリーを打破することが難しく、コストがかかることである。その結果、スタートアップは多くの場合、自らが作成を支援する新しいマーテックのカテゴリーで競争することになる。最終的に、これらのカテゴリーは既存のツールに統合され、すべてをより複雑で高価なものにしてしまうのだ。
2.マーテックスタックが小さくなる
マーテックスタック(企業がマーケティング活動を支援するために使用するさまざまなソフトウェアやツールの集合体)は、複雑さが容赦なく増すだけで、そのようなことは決して起こらないだろう!
3.AIが完璧な長文のマーケティングコピーを作成する
AIはとても素晴らしい。コンピューターが何を生み出すかを見るのは楽しみだ。しかし、それほどワクワクせず、むしろ非常にイライラさせられるのは、AIが十分な能力を発揮できないからである。技術用語の誤用によって虚偽を作り出したり、平凡で定型的なコピーを吐き出したりする場合でも、AIには現実世界のコンテキストを確保するために、生身の脳を持つ編集者が必要なのである。
そして、2024年に約束されていたAIの大幅な改善はどうなったのだろうか。AIはすでに能力の限界に達したのだろうか。
4.キャンペーンの自動最適化が毎回完璧に機能する
私たちは皆、マーケティングプラットフォームの「スーパー自動化」モードが大好きである。広告からマーケティングの自動化に至るまで、「設定すれば、あとはお任せ」という保証は素晴らしく聞こえる(キャンペーンを作成したら、プラットフォームがあなたに代わって最適化してくれるのを想像してみてほしい)。
しかし、残念ながら、そうはならないことが多い。確かに、特にA/Bテストのような簡単な作業では、ある程度の改善を達成できる。しかし、プラットフォームは、AとBのどちらが効果的であったかを伝える以上のことはできない。ある広告が別の広告よりも優れている理由を判断し、AとBの両方を超える選択肢Cを作るには、やはり人間が必要である。要するに、キャンペーンの自動最適化はまだ最適ではないのだ。
5.アトリビューションとROIの問題が解決される
申し訳ないが、マルチチャネルキャンペーンの成果を直接アトリビュートさせたり、特定のアクティビティの正確なROIを決定したりできるようになるには、まだ長い道のりがある。
なぜか。その理由は、以下のようにたくさんある。
- 販売サイクルの長さ
- ブランド構築にかかる時間
- さまざまな戦術が相互に作用し合うため、一つの戦術の有効性を切り分けることができないこと
- 営業が人間によって行われるB2Bの状況において、関連データを収集することの難しさ
これらの問題は、解決策をはるかに上回っている。いくつかのチャネル(eコマース向けの検索広告など)では進歩が見られるが、広報のような分野に携わっている場合には、ROIを現実的に測定するには何年もかかる可能性がある。
6.ブロックチェーンがマーケティングに革命を起こす
当初はブロックチェーンをマーケティングに活用することに大きな期待が寄せられていたが、今では下火となり、再び盛り上がることはないだろう。マーケティングパフォーマンスを追跡する新しい方法に移行することの複雑さを、宣伝されたメリットが上回らなかったからだ。しかし、ビットコインが上昇し続ければ、暗号通貨を試してみようという気になるかもしれない。個人的な意見ではあるが。
7.Cookieがついに消滅する
数え切れないほどの廃止の動きにもかかわらず、どこにでもあるCookieは頑なに生き続けている。そして、それは2025年以降も生き続けるだろう。
私たちはサードパーティCookieの最後の数年を目にしているかもしれないが、そのCookieでさえ2025年に完全に消え失せることはないだろう。一方、ファーストパーティCookieはますます重要になり、2025年には成長するだろう。
8.いよいよ顧客がデータ共有の対価を得ることになる
失望させて申し訳ないが、もう一度言おう。これは実現しないだろう。プロセスがあまりに面倒なため、消費者はその時間と労力を正当化できないだろう。特に、個人のデータの実際の価値はあまりにも小さいからだ。
唯一実行可能なモデルは、少数の企業が市場をコントロールすることだろう。そのような支配的なプレーヤーによるデータプライバシーへの影響は、考えるだけでも恐ろしい。
9.QRコードがURLに取って代わる
QRコードにまつわるITセキュリティ上のリスクに関する最近のニュースにより、ユーザーは暗号化された四角形をスキャンすることに対してますます警戒感を強めている。
皮肉なことに、こうして注目されることによって、QRコードをハッキングやその他のいかがわしい行為に悪用する人が増えている。すぐにURLに別れを告げることはないだろう。記憶に残るバニティURL(個人の名前や製品名、ブランド名を組み込んだカスタムURL)を作り続けよう。
10.チャットボットが皮肉を理解するようになる
チャットボットがうまく機能していれば、それは素晴らしいことである。しかし、それでも限界がある。イギリス人としては、彼らが皮肉を理解できないことが特に腹立たしい。
たとえば、チャットボットが間違った答えを返した時に、あなたが「ありがとう。とっても助かったよ」と答えても、チャットボットは「お役に立ててうれしいです。私のサポートを五つ星で評価していただけますか?」と答えるだろう。
その件については、後ほど回答してもよいだろうか?