EC業界ランキング・データ総まとめ40選(2015年版)

 

トレンドの移り変わりが早いEC業界では、常に最新のデータにアンテナを張り巡らせていく必要がある。非常にありがたいことに、EC業界には多くのランキングデータやトレンドデータが公開されている。ECに関するランキング・データは、業界の注目度の高さに比例してかなり詳細なものまで提供されるようになってきている。今回は2015年のEC業界の動向が分かるランキングやデータをくまなくピックアップし、市場規模、消費動向、スマホ、海外市場の分野に分けて紹介していく。

 

目次
▼市場規模・売上高データ・ランキング 9選
▼消費動向データ・ランキング 9選
▼スマホ・モバイル関連データ 6選
▼海外市場・越境ECデータ・ランキング 12選
▼その他トレンド 4選

 

 

市場規模・売上高データ・ランキング 9選

 

EC関連のデータの代表といえば、市場規模データであろう。国内EC市場全体の規模や、各商品ジャンル毎の市場規模やモバイルからの購入の市場規模などのデータが発表されている。

 

経済産業省

経済産業省は、年1回電子商取引に関する市場調査(2015/5/29公開)を発表している。

1998年から毎年行われ、今回で17回目の調査となる。発表時期はばらつきがあるが、5~8月ごろとなっている。

2015年度版には日本の電子商取引市場の実態が公表された。日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は12.8 兆円となり、前年比14.6%増と拡大し拡大路線が継続されていることが報告されている。このデータは国内市場トレンドが依然として右肩上がりであることを示す最も根拠ある数字として使われることが多い。

 

矢野経済研究所

株式会社矢野経済研究所は、ネット通販市場白書や主要ECサイトのデジタルマーケティング取組動向と展望、電子決済/EC決済サービスの実態と将来予測などさまざまなデータを発表している。

食品通販市場に関する調査(2015/9/25公開)では、2014年度の食品通販市場規模は小売金額ベースで、前年比104.8%の3兆1772億円と拡大見込みである。また、各販売チャネルの構成比をみると、生協が41.1%と最も高く、次いでショッピングサイトが33.9%で生協に迫る規模となっている。また2019年度の食品通販市場も2014年度比118.2%の3兆7,539億円と継続成長を予測している。

またこのデータ以外にも有料ではあるが国内の各商品ジャンル毎の豊富な資料・データの提供が行われている。

 

富士経済

株式会社富士経済通販・e-コマースビジネスの実態と今後2014-2015(2015/1/19公開)を発表した。通販市場は食料品や日用品の購入においてもECの定着が進み、拡大が続いている。2013年は通販市場が7兆7634億円(前年比113.8%)、そのうちEC市場は5兆7065億円と全体の7割以上を占めていたが、2016年には市場全体が10兆5352億円(2013年比135.7%)と10兆円を超えて、EC市場は8兆4321億円と全体の8割を占めると予測している。またここも、上記以外にも豊富な有料レポートが提供されている。

 

日本流通産業新聞社

日本流通産業新聞社が毎年公開しているネット通販売上高調査(2015/06/12公開)は、国内のECサイト・ネットショップ毎の売上高ランキングだ。2014年度はAmazon、アスクル、千趣会、ヨドバシカメラと上位から続いている。通常は公開されていない売上高を独自の取材網でランキングしている貴重なデータとなる。

 

月刊ネット販売(通販新聞)

通販新聞の姉妹紙にあたる月刊ネット販売でも同様のランキングデータ(2015/9/25公開)が公開されている。それによるとネット販売実施企業上位300社のネット販売売上高は、合計2兆9380億円で前年比10.2%増。Amazon、千趣会、ヨドバシカメラと上位から続いており、日本流通経済新聞社のデータの競合データといえよう。

 

インプレス

株式会社インプレスインターネット通販TOP100調査報告書2014(2014/11/28公開)という形で、国内の売上高上位ランキングと上位サイトのモール・自社サイトなどの出店構成のデータを公開している。こちらは詳細のデータは有料となるが、公開されている情報だけでも市場のトレンドを掴むには十分だろう。

 

帝国データバンク

株式会社帝国データバンクは売上10億円以上の通信販売業者174社の業績動向調査(2015/3/9公開)を行った。総売上高は2兆1161億円で、前年度比3.2%増と年々増加幅が拡大している。売上高トップはオフィス用品を扱うアスクル、次いで家電製品を主体とするジャパネットたかたとなった。スマホの普及によってネット通販が浸透し、通販市場が拡大したようだ。

 

ヴァリューズ

株式会社ヴァリューズが発表した「ネットスーパー」業界調査レポート(2015/10/1公開)では、西友ネットスーパーは男性の比率が高く、イトーヨーカドーネットスーパーは関東エリア比率が高くなっていた。また、悪天候の日のユーザーの増加は軽微であり、日常的に定期利用するユーザーが増加したことがわかった。

 

ゴメスコンサルティング

ゴメスコンサルティングは、Webサイトランキングの中にネットスーパーランキング(2014/09/12公開)を提供。Webサイト全般のレポートが多いが、一部ECサイト関連のレポートも提供している。

 

 

消費動向データ・ランキング 9選

 

EC市場の拡大に伴って、EC利用者の消費動向について詳しく調査されるようになった。性別や世代ごとに利用金額やその内訳に違いがみられる。

 

総務省

総務省の内部部局である総務省統計局は、世帯を対象として、購入頻度が少ない高額商品・サービスの消費やICT関連消費の実態を毎月調査し家計消費状況調査(2014年分は2015/2/17公開)として発表している。

EC関連のデータとしては、「インターネットを利用した支出総額」が調査されてきた。2015年1月からは、ECの急速な普及に伴いその内訳についても年齢階級別に調査されている。1月~3月の結果(2015/7/17公開)では、旅行関係費の支出が20.0%と最も高く、その利用は60歳代が26.4%で最も高くなっていることがわかった。

そのほか、年1回情報通信白書(平成27年版は2015/7/28公開)を発表している。こちらではインターネットの利用時間、SNSの普及がもたらす変化など、インターネット全般に関する最新情報がわかる。また、情報通信白書は電子書籍やスマホアプリでの閲覧も可能となっている。

 

日本通信販売協会

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が運営するジャドマ通販研究所では、鉄腕アトムを起用して通販に関するデータやトレンドをわかりやすく紹介している。研究レポートのコーナーでは例えば「ネット通販の普及で購買行動に変化」において「○○円以上で送料無料」とあるとついその金額以上買ってしまった経験のある人が約83%いると発表されている。そのほか、詐欺サイトの被害実態や贈り物での通販利用実態など消費者が通販を安全に利用するための情報を見ることができる。

 

バルクマーケティングリサーチサービス

バルクマーケティングリサーチサービスが実施したインターネットショッピングに関する調査(2015/2公開)を実施した。年間の利用金額を見てみると、年代が上がるほどその額は高くなる傾向がみられた。特に女性は年代間での差が大きく、20代の年間平均利用額(63,014円)と、60代の年間平均利用額(226,089円)では3倍以上の開きが見られた。

 

ソフトブレーン・フィールド

ソフトブレーン・フィールド株式会社が行った主婦のネットショッピング事情に関する調査(2015/4/1公開)では、30~40代の既婚女性を中心にアンケート調査を実施したところ、9割以上が日用品や生活必需品をECで購入したことがあると回答した。また、10人に1人は月に1万円以上ネットショッピングで買い物をしていることが明らかになった。また上記以外にも多くのフィールドリサーチ、ミステリーショッパーなどのレポートが掲載されている。

 

LIVELY

株式会社LIVELY500人のネットショッピングの実態調査結果(2015/9/16公開)では、5人中4人がネットショッピングを普段利用するにも関わらず、その3割は使った金額を把握していないことがわかった。

 

サービス産業生産性協議会

サービス産業生産性協議会(SPRING)は、日本版顧客満足度指数(JCSI)(2015/7/29公開)を発表した。通信販売の顧客満足1位はヨドバシ.comで2年連続となった。ヨドバシ.comは知覚品質、知覚価値、推奨意向、ロイヤルティの4指標でも1位となった。通信販売の評価を「総合・モール型通販」と「自社ブランド型通販」で行った結果、自社ブランド型の顧客満足1位はオルビスとなった。

 

エルテックス

株式会社エルテックス通信販売に関する消費者調査(2015/8/27公開)を 実施した。通信販売事業者に向けて調査をしたもので、悩みごとや困りごと、通販事業に対する課題などを集計した。ECサイトのスマートフォンへの対応につ いては、半数以上の56.2%がスマートフォンに対応しているが、そのうちの約8割、全体回答者の44.6%はスマートフォン対応はしたが、何らかの課題を抱えていると回答した。

 

VALUES

市場規模データも提供しているVALUESは、ファッションEC 訪問頻度ランキング(2015/4/20公開)も発表している。サイト訪問者数は、カタログ通販のベルメゾンネットとニッセンが2強となった。また、ユーザー1人当たりの訪問回数(訪問頻度)ランキングで は、1位は「通販・テレビショッピングのショップチャンネル」、2位「QVCジャパン|世界最大級のテレビショッピング・通販」、3位 「ZOZOTOWN」という結果になった。ショップチャンネルやQVCジャパンはTV通販との連携があるためか、3カ月間で1人当たりの訪問回数が10回超と非常に高くなっている。ZOZOTOWNは自然検索流入やブックマークからの流入が多くなっている。

VALUESではその他にもサイト集客ランキングや急上昇検索キーワード同行レポートなどECサイトに関連する各種レポートを積極的に公開している。

 

 

スマホ・モバイル関連データ 6選

 

スマートフォンが爆発的に普及した現在、スマートフォンからのアクセスや購入率が年々増加している。ECサイトはスマホ用サイトの作成を主軸に置く必要があるなど、スマホへの対応の重要度がデータからうかがえる。

 

モバイル・コンテンツ・フォーラム

一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムモバイルコンテンツ関連市場規模(2015/8/24公開)では、モバイルコンテンツ市場とモバイルコマース市場の市場規模調査の結果を発表している。

2014年度の両市場を合わせたモバイルコンテンツ関連市場の合計は対前年比130%の3兆9046億円となった。

 

MMD研究所

MMD研究所は、フリマアプリに関する調査(2015/1/20公開)とフリマアプリに関する利用実態調査(2015/1/22公開)を実施した。利用しているフリマアプリはメルカリが62.2%で、次いでFril、LINEMALLとなった。フリマアプリの利用経験者は3割で、利用経験者のうち半数が出品または購入をしたことがあった。利用した理由を聞くと、「安く買えるから」が69.5%と最も多く、次いで「不要なものが売れるから」 が52.1%、「見ていて楽しいから」が43.6%となった。

 

ニールセン

ニールセン株式会社は日本のインターネットの利用状況を毎月調査している。「Eコマース」の利用状況(2015/8/25公開)では、EC全体の利用時間はPCとスマホが拮抗していることや、大手ECサイトやファッションサイトはスマホからの利用時間がPCを上回ったことが発表された。

また、デバイス毎のインターネット利用状況(2015/7/28)では、スマホからほぼ毎日インターネットを利用する人はPCの二倍いることや、10代の約半数はスマホからのみインターネットを利用しているということがわかった。

 

アイレップ

株式会社アイレップモバイルフレンドリーアップデートによる順位変動調査レポート(2015/5/26公開)を発表している。モバイルフレンドリーアップデートとは、今年4月にGoogleが行ったスマホへの対応度を検索結果の掲載順位を決定するための要素として活用するアルゴリズム更新のことである。これによって検索結果がどのように変化したのか調査をした。

モバイルフレンドリーアップデートのタイミングで、モバイルのみ順位変動を観測し、検索結果画面において[スマホ対応]サイトの占有率が急激に高まった。スマホ対応サイトへの優遇が実施されたことで、モバイルフレンドリーアップデート前と比較して大きな変化があったことがわかった。

 

日本流通産業新聞社

日本流通産業新聞社はモバイル関連データについても独自に調査したモバイル通販売上高調査(2015/1/16公開)を発表している。これによると売上上位100社の合計売上高は前回2013年9月調査時より46%の大幅な増加となった。

 

eコマースコンバージョンラボ

当サイトでは、EC向けアクセス解析~自動課題判定~施策提案ASPサービスSHOPNOTEからわかるスマホトレンドデータを半年に一度発表(2015年上半期分は2015/7/23公開)している。来訪者数・ 売上高・転換率・客単価・平均PV数の5つ主要各指標について、4半期毎の時系列・出店形態別(楽天と本店)・売上高レンジ別・取り扱い商品レンジ毎の4 つの切り口から見ている。2015年上半期のデータでは、ユーザーの67%、売上の46%がスマホ経由でのアクセスであることがわかった。

 

 

海外市場・越境ECデータ・ランキング 12選

 

越境ECは近年耳にすることが多いワードだろう。中国をはじめアジア圏を中心に越境ECは拡大しているが、海外市場のデータやランキングを紹介していく。

 

経済産業省

当記事の一番最初に触れた電子商取引に関する市場調査(2015/5/29公開)に掲載されている越境EC関連のデータが国内では最もトレンドを知る意味では信頼できるデータだろう。日米中3か国間の越境電子商取引の市場動向及びEUにおける電子商取引関連法制度についての調査データが公開されており、中国向けの越境EC市場は前年比53%増の1.2兆円となったことが分かる。

 

国土交通省観光白書

国土交通省が毎年公開している観光白書(2015/6/9公開)にもヒントが満載だ。海外から訪問してきた外国人が国内でどのような商品をどのくらい購入しているのか、というデータは越境ECにおいて大きなヒントとなる。

 

UNCTAD

UNCTAD(国際連合貿易開発会議)Information Economy Report 2015(2015/3/24公開) (情報経済報告)を発表した。

世界のB2C-EC市場は年間約1兆2千億ドルで、年間15兆ドルに達するB2BのEC市場に比べると、規模的にははるかに小さい。しかし、アジアやアフリカで目覚ましい発展をみせているという。B2C-ECで最も成熟しているエリアは小規模な欧州諸国だという。また、中国はすでに世界最大のB2C-EC市場の国となっているようだ。

 

e-marketer

e-marketerは世界中の市場調査をとりまとめている。全世界の小売市場規模のデータ(2014/12/23公開)では、2014年の実店舗とECでの販売を合わせた全世界の小売市場は22兆4,920億USドルで、そのうちECは5.9%を占め、1兆3,160億USドルに達するだろうと発表した。また中国とアメリカの2国でECの小売市場の半数を占めていることがわかった。

 

三菱東京UFJ銀行

三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司は経済週報で、中国電子商務研究センターが発表した2014年度中国電子商取引市場観測報告を日本語で取りまとめた(2015/5/28公開)

 

その他の海外市場・越境EC関連のデータ・ランキング

モバイルコマース市場レポートは、ENVIE Pte.Ltdが運営する米国や東南アジアのモバイルコマース市場の調査をまとめたサイト。海外のEC関連データを日本語で紹介している。

Our Mobile Planetでは、世界各国のモバイル利用状況のグラフを簡単に作成できると共に詳細のデータも入手できる。

世界経済のネタ帳は世界各国の経済や貿易、人口などをランキングしたサイトだ。

経済レポートでは、中国ECに関連するデータに豊富にリンクが貼られている。

フロスト&サリバンでは、東南アジアのEC市場の現状から展望(2014/7/4公開)をデータ面で分析。

インド進出支援ポータルでは、インド合同商工会議所のデータをインドのEコマース市場データという形で分析。

インド消費者インサイトレポートでは、インドのイーコマース利用に関する消費者リサーチ(2014/9/18公開)を公開。

 

<参考>

そもそも越境ECってどんなモノがどんな理由で売れるのか - データから見るポテンシャルと傾向

急成長を遂げる東南アジアとインドのEC市場 - 6カ国の市場環境・決済と進出ハードルまとめ

 

 

その他トレンド 4選

 

MMD研究所

モバイル関連の調査データが豊富にあるMMD研究所だがその他の調査レポートも豊富だ。ネットショッピングに関する調査(2015/5/26公開)では、ECサイト上での口コミ・レビューの書き込み実態を公開。商品購入後の口コミ・レビュー書き込み経験は37.1%で、特に専業主婦が書き込む傾向が高く、口コミ・レビュー書き込み経験者の45.3%が商品に満足している時に書き込んでいることが分かる。

 

FREEC!

FREEC!は、ECサイトの問い合わせ対応に関する調査データ(2015/9/1公開)を発表した。ECサイトの利用者は約65%の人が1時間以内の返信を期待していた。また、楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗に調査をしたところ、問い合わせの返信時間は年々早まっていて、2014年は半数以上が1時間以内に返信していたことがわかった。

 

Cuenote

Cuenoteでは、メルマガ調査レポート(2015/10/19・16公開)を提供。メルマガの送信時間や曜日などの傾向を分析している。

 

ミック経済研究所

ミック経済研究所では、毎年、ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望(2015/5/13公開)を発表している。オンライン決済市場動向に関する非常に貴重なデータとなっている。

 

 

2014年~2015年のEC業界のトレンドが分かる、ランキング・データを40個ピックアップしてみた。非常に多くのデータが提供されていることに驚いた一方で、以前充実したデータが提供されていたサイトの更新が止まってることもあった。トレンドの変化の激しいEC業界では数年前のデータが役に立たないことも多いのでデータの更新日付は非常に重要になるので気をつけて確認していきたい。eコマースコンバージョンラボでは、年に一回程度、最新のランキング・データについて報告していく予定だ。